日本総合研究所 調査部 大嶋秀雄(おおしま ひでお)
金融リサーチセンター上席主任研究員。京都大学理学部卒、三井住友銀行入行。日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター、日興リサーチセンター理事長室、三井住友銀行リスク統括部等を経て、現職。注力テーマは、金融機関経営、地域金融、金融政策。
日銀の利上げによって「金利のある世界」が到来し、銀行の預貸ビジネスは大きく息を吹き返した。2025年度は過去最高益となる銀行が相次ぎ、資本市場での評価も上向いている。ところが、その恩恵は一様ではない。規模の小さい地方銀行(地銀)ほど収益改善は遅れ、株価純資産倍率(PBR)は1倍に届かないままだ。人口減少が加速する地域を地盤とし、ネットバンクやメガバンク、フィンテック企業の攻勢にもさらされる地銀は、資本市場から「それでも成長できるのか」を問われている。この逆風の中で、地銀の評価を分けているものは何か。本記事では、東証が上場企業に示した“目線”と地銀の現在地をデータで確認したうえで、生き残りのカギを握る2つの条件を読み解く。
上場地方銀行の2025年度決算が出揃い、「過去最高益」に沸く地銀が続出している。日銀の“緩やかな”利上げを追い風に、預貸ビジネスの収益環境が改善したことが主な要因だ。しかし、この好業績を手放しで喜ぶことはできない。好決算の裏では、収益改善遅れが鮮明となっている銀行もあり、銀行間の格差がかつてないほど拡大しているからだ。さらに、メガバンク3行だけで上場地銀73行の合計の“3倍以上”もの純利益を稼ぎ出しており、その圧倒的な差は埋まる気配すらない。今後さらに利上げが加速する「金利のある世界」で、メガバンクやネット銀行の猛攻から地銀はどう生き残るべきか。“消える銀行”と“勝ち残る銀行”の境界線と、「地銀の攻め」の裏側を徹底解説する。