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  • 2019/08/14

“デジタル免許証”が「アプリで身分証明」を実現?財布なし時代到来か (2/2)

デジタルナンバープレートでは免許証とナンバープレートが1つに

 ちなみに、米国で車関連の最新テクノロジーといえばまずカリフォルニアから普及するイメージがあるが、デジタル免許証に関しては最初に導入したのはアイオワ州だ。ただしカリフォルニアは全国に先駆けて車のデジタルナンバープレートを導入している。車両登録などの情報がデジタル化されてプレートに保存されており、車のIDとして必要な情報がすべてこのプレート1枚で事足りる。

 デジタルナンバープレートは登録情報などをオンラインで更新できるため、更新情報を示すスティッカーを貼らなくても良いなどのメリットがある他、たとえば盗難にあった場合プレート上に「盗難車両」と表示することが出来るため、犯罪防止に役立つ。また車の走行中プレートに宣伝広告情報を掲示することも可能になる、などさまな利用方法が考えられる。こちらも今後全米に普及しそうだ。

免許証、決済などのデジタル化で「財布」の概念が変わる?

 ともあれ、デジタル免許証の普及に伴い、現在米国では「財布というものの概念が変わる、あるいは財布というものが市場から消えるのでは」という議論がある。財布とは札や小銭を入れ、さらには各種カード類、免許証などを入れるものだが、この中に入るべきものが次々とデジタル化されているためだ。

 米国では元々ほんの数ドルの買い物であってもカードで支払うのが当たり前になっており、現金を持ち歩かない人も多い。各種カードのうち、ストアのポイントカードなどはグーグルウォレットなどのアプリを使えばすべてデジタル的に保存できるし、最初から会員証などをデジタルで提供する企業も増えてきた。そしてクレジットカードも徐々にスマホのペイアプリに置き換えられつつある。

 Statistaによると、米国でのモバイル決済での取引総額は2015年には97億ドルだったが、2021年には1899億7000万ドルに達する見込みだという。小売店舗でモバイル決済を受け付けている割合はアプリによって異なるが、最も受け入れ率が高いのは2018年12月の時点ではApple Pay(受け入れ率50%、2年以内の受け入れ予定32%)、続いてマスターカードによるMasterPass(45%、25%)、Visa Checkout(43%、25%)、モバイルPOS(43%、32%)PayPal(36%、34%)、Google Pay(34%、39%)、Chase Pay(28%、26%)、小売店ブランドの専用ペイシステム(25%、19%)、Sumsung Pay(20%、25%)となっている。

とはいえなかなか進まない

 ただしモバイル決済の普及にもさまざまな課題がある。なぜモバイル決済を利用しないのか、というアンケート調査に対し、最も多かった回答は「クレジットカードを使う方が簡単」というもので45%。続いて「安全と思えない」(39%)、「現金支払いの方が好ましい」(31%)、「モバイル決済アプリを持っているが使うのを忘れる」(15%)、「レジでモバイル決済を使えるかどうか分からない」(11%)、「いつも行く店ではモバイル決済を受け付けていない」(8%)などとなっている。

 しかしアマゾンがキャッシュレスストアであるAmazon Goを現在急ピッチで全米に広げており、「アプリで買い物」という概念も徐々に一般的になりつつある。Amazon Goは現在シカゴに4店舗、ニューヨークに2店舗、サンフランシスコに3店舗、シアトルに4店舗を展開している。Amazon Goはモバイルペイさえ提示せず、入店時にアプリを示すだけ、買い物代金は後にアマゾンアカウントから引き落としというシステムだが、中国ではすでに一般的なこのシステムが米国に広がることでモバイル決済普及の促進にもつながると期待されている。

 意外ではあるが、米国では年配者など、未だ買い物に個人小切手を使用する人も少なくなく、低所得層のためのフードスタンプでの買い物も多い。そのため小売店舗もさまざまな支払い方法に対応する必要があり、すべてのモバイル決済を受け付けるには時間がかかる。しかしレストランなどでは時間と経費節約の面から現金決済の出来ない店も増えており、米国人の支払い習慣にも大きな変化が生まれそうだ。

 免許証、カード、現金のすべてがスマホに収納できる時代、しかもスマホで家の玄関を解錠するシステムも普及し始めている。財布やキーホルダーが過去のものとなる時代はすぐそこまで来ているのかもしれない。
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