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  • 2019/08/14

“デジタル免許証”が「アプリで身分証明」を実現?財布なし時代到来か

多くの人々にとってなくてはならないものとなったスマホ。さまざまなアプリによって人とのつながり、マネジメント、趣味などあらゆる面でスマホが利用されているが、今注目されているのは「個人識別をスマホで行う」という試みだ。一方でモバイル決済も広がりつつあり、「財布の中にあるもの」のデジタル化が進んでいる。スマホの役割は一体どこまで拡大するのだろうか?

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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米国ではデジタル免許証、さらにデジタルナンバープレートの導入が進んでいる

米国で運転免許証のデジタル化が加速中

 米国では今、個人のIDとして最も一般的な車の運転免許証をデジタル化し、スマホで保存する試みが広がりつつある。

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 システムを主に提供しているのはジェムアルトで、同社は2016年に米商務省傘下の国立スタンダード・アンド・テクノロジー研究所(NIST)から「将来の信頼性のあるデジタル免許証の普及」のため、200万ドルの奨励金を授与されている。

 現在同社のシステムを用いてデジタル免許証をパイロットプログラムとして発行しているのはコロラド、メリーランド、ワシントンDC、ワイオミングの各州である。

 この他にもデジタル免許証に取り組む企業はIDEMIA(アイオワ、デラウェア、オクラホマ州でパイロットを実施)、Canadian Bank Note、Entrust Datacard、GET Group、HID Global、Veridosなど数多い。世界的に見てもオーストラリア、オランダ、英国、ブラジル、フィンランド、コソボなどが政府を挙げてデジタル免許証導入に取り組んでいる。

デジタル化のメリットは?

 ではデジタル免許証にはどのようなメリットがあるのか。

 まず、財布から免許証を出して提示する必要性がなくなる。免許証を紛失し、それが詐欺などに悪用されることを防ぐこともできる。さらにはデジタルという性質上、たとえば警察に交通違反などで捕まった場合、警察官が所持するタブレットに情報を転移し、本人確認や免許証が有効期限内であることなどを即座に確認することができる。免許証の更新もオンライン上で書き換えることができるため、時間の節約になる。



 米運輸省では今年中にもデジタル免許証のスタンダードを定め、全米でデジタル免許証のダウンロードアプリ普及を模索しているが、そのためにはクリアすべき問題点もある。

 まず、データ通信のない場所でも提示できるよう、オンラインとオフラインモードが選択できること。またユーザーデータのプライバシーを守るため、高度なセキュリティが設定されること。他州で発行された免許でも別の州でIDとして通用する「州間のインターオペラビリティ」が確立されること。そしてデジタル免許証のライフサイクル全体におけるデータ管理を可能にすることだ。

デジタル免許証の課題はスマホ普及率

 しかし、たとえこれらの問題が解決されたとしても、デジタル免許証は当面は従来の免許証を補完するものとして扱われる。



 ピュー・リサーチ・センターによると米国におけるスマホの普及率は現在81%(携帯電話は96%)であり、全国民がこのデジタル免許証を入手できるわけではないためだ。特にスマホに関しては18~29歳では96%の普及率だが、65歳以上になると53%と、年代による普及率に大きな差がある。

【次ページ】デジタルナンバープレートでは免許証とナンバープレートが1つになる

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