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  • 2022/09/28 掲載

フィンテック企業の「進化と課題」、規制遵守とイノベーションを両立するには?

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日本のフィンテック業界は、近年急速に成長してきている。しかし、海外のフィンテックスタートアップと比較することで見えてくる課題もある。フィンテック業界の進化の過程と現状、金融機関との連携の課題について、マネーツリー代表取締役・創業者のポール チャップマン氏、デジタル庁ソリューションアーキテクトの大久保 光伸氏、Plug and Play Japanの荒井 良史彦氏、さらにはインフキュリオン取締役のナタリー 志織 フレミング氏(モデレーター)に話を聞いた。

長谷川 誠

長谷川 誠

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フィンテックの「進化と規制」を両立させるには?
(Photo/Getty Images)
※本記事は、Fintech協会が2022年7月に主催したFintechJapan 2022の講演内容を基に再構成したものです。

日本のFinTech業界が数年の間で大きく成長した要因

 フィンテックという言葉がキーワードとして注目され、FinTech協会が立ち上がるなど官民連携の機運が高まった2015年。その頃と現在とで、国内外のフィンテックの状況はどう変わってきているのか。

 FinTech協会の前身として2014年に開催された第1回目「Fintech Meetup」からコミュニティにの参加してきたマネーツリーの代表取締役・創業者のポール チャップマン氏は当時を以下のように語る。

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マネーツリー
代表取締役・創業者
chief executive and founder
ポール チャップマン氏
「第1回目の『Fintech Meetup』はほぼ偶然な集まりであり、インフォーマルかつスモールなスタートでした。当時は未来が予測不能だったこともあり、『企業の代表やファウンダーが手を組みながら、互いをサポートしていこう』『フィンテック業界をともに作り上げていこう』という空気がありました」(ポール氏)

 そしてフィンテック業界が活況を呈するようになった要因について、ポール氏は以下のように分析している。

「成功をもたらした要因は、オープンバンキングです。欧州にはすでにありましたが、日本流のオープンバンキングの登場までは3~4年くらいかかりました。今でこそ大手金融機関とフィンテック事業者の協業はめずらしくありませんが当時は夢のような取り組みでした。担当者は『不可能を可能にする』という意識で臨んでいたと思います」(ポール氏)

 続いてインフキュリオン取締役のナタリー 志織 フレミング氏は、「日本での大手企業と金融機関のフィンテックに対する取り組みは、変化してきているかどうか」を尋ねた。デジタル庁ソリューションアーキテクトである大久保光伸氏は、以下のように答えた。

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デジタル庁
ソリューションアーキテクト
大久保 光伸氏
「日本の大企業でも、CIO(最高情報責任者)・CDO(最高デジタル責任者)・CTO(最高技術責任者)などを外部から招いて、組織の変革に取り組んでいるケースがかなり増えてきました。事業者側でITを担っている方々の力が大きいと言えるでしょう。その後、ITの内製化が各企業で進みました。クラウドの文脈では、この数年でCCoE(Cloud Center of Excellence)が整備されています」(大久保氏)

 行政の動きも5年ほどの間で大きく変化し、オープンバンキングを始めとする金融規制改革やフィンテック事業の推進が活発化してきた、と大久保氏は説明した。

オープンイノベーションが根付く中で見えてきた課題とは?

 ナタリー氏から、Plug and Play Japan 荒井 良史彦氏に対して、「日本でのフィンテックスタートアップのトレンドと課題とは?」との質問があった。荒井氏は日系の金融機関とフィンテックを含む国内外のスタートアップのマッチメイキングを職務としている観点から、以下のように回答した。

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Plug and Play Japan
Program Lead, Fintech
荒井 良史彦氏
「フィンテックスタートアップが日本のマーケットで事業を立ち上げる際の良い点は、埋め込み型の金融インフラを活用できるサービスを提供する企業が存在していることです。たとえば、子どもの金融教育に特化したアプリケーションを提供しているMEMEは、GMOあおぞらネット銀行の埋め込み型金融のプラットフォームを使って、早期に事業立ち上げを実現しています」(荒井氏)

 荒井氏は、金融機関の間でオープンイノベーションの取り組みが根付いてきたことを実感していると語っている。日本でのフィンテックスタートアップの課題については、以下のように語った。

「日本の金融マーケットでは、大手金融機関のプレゼンスの高い状況が続いています。フィンテックスタートアップは遅かれ早かれ、どこかのフェーズで大手金融機関との連携を迫られると予測されます。その際に協業のハードルになるのが、大手金融機関から求められるセキュリティ要件の高さです」(荒井氏)

 セキュリティに関する日本の基準と海外の基準の違いについては、ポール氏から以下のような説明があった。

「日本の金融機関のセキュリティ要件では、『報告・連絡・相談』が重要と言えるでしょう。問題が生じた時に信頼関係が崩れないように、連絡を取るのが第一歩です。セキュリティを担保するものは、人間関係です。情報開示により、対立的な関係ではなく協力的な関係を結べます。フィンテックスタートアップへのアドバイスは、日本の金融機関と友好的な関係を築き、協業の接点を作ることを重要視すべきです」(ポール氏)

【次ページ】セキュリティ要件に関する海外と日本の企業の違いとは?

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