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- 2024/09/19 掲載
東京メトロの上場で注目される「鉄道一筋」経営、JRや東急のビジネスモデルと徹底比較
連載:小林拓矢の鉄道トレンド最前線
注目集まる東京メトロの「上場計画」
東京メトロの上場は、時価総額7,000億円規模の大規模な上場となっており、市場関係者の注目を集めている。東京メトロは現在、国が53.4%、東京都が46.6%の株式を保有している。東京メトロが営団地下鉄から民営化され、株式会社となった時点で将来の上場は想定されていた。東日本大震災の復興のために費用を確保する復興財源確保法が制定され、売却益を復興債の償還に充てることにしている。上場の際には、国も東京都も持ち分を現在の半分にまで減らすことにしている。
東京メトロは営業収益3,892億6,700万円、経常利益658億6,600万円(2024年3月期有価証券報告書)という規模である。鉄道業界最大手のJR東日本が営業収益2兆7,301億1,800万円、経常利益2,966億3,100万円であり、売上高では京王電鉄より低いといった程度の規模だ。
しかし、多くの鉄道会社では、鉄道部門の収益力よりも不動産や小売業などでの収益力のほうが高い状況にある。
あくまで「運輸業が主軸」の東京メトロ
鉄道会社のビジネスモデルは、鉄道を中心にし、駅を発着するバスをサブの事業とした運輸業を主体としながらも、不動産開発や小売り、そのほかさまざまな事業を行い、「生活総合産業」として多角化経営するというものだ。下手をしたら、鉄道はそこそこに、そのほかの事業に一生懸命という鉄道会社もある。
鉄道を走らせることに「一意専心」という鉄道事業者は、地方の第三セクターを除けば多くなく、副業なくして鉄道事業なしという状況になっている。鉄道会社は、地域を基盤にした総合ビジネスであり、鉄道会社の株を保有することで、多彩な事業に投資することになっているのが現状なのだ。
しかし、東京メトロのビジネスモデルは、あくまで「運輸業」が主体なのだ。下にセグメント別の表を示す。
運輸業で多くの人が働き、運輸業で売上を確保し、運輸業でもうけているとわかる。すなわち、多角化経営していない。鉄道業だけで十分にやっていける鉄道会社なのだ。
鉄道以外で「着実に稼ぐ」JR東日本
東京圏では、東京メトロ以外にも、JR東日本の存在感が強いだろう。近年、JR東日本は、東京圏以外の大規模開発に力を入れ、さらにはITやSuica事業にも力を入れている。それでは、2024年3月期の有価証券報告書を見ながらJR東日本のビジネスモデルを考えていこう。 【次ページ】JR東日本、東急のビジネスモデルを詳しく解説
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