• 2026/03/18 掲載

【独占】先進国で日本最下位…PTC首脳が警告する「製造業の危機」と「生成AI逆転策」

1
会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。
先進国で最も3D CAD化が遅れている──そう指摘されるのが日本の製造業だ。CAD製品の出荷数を見ると、いまだに2Dが半分を占め、特に中小企業では紙ベースの業務が根強く残る。衰退が続く日本の製造業だが、復活に欠かせないのがAIだ。しかしながら、多くの企業がAI活用に苦戦している。製造業がAI活用を成功させるには何が必要なのか。今回、CADやPLMなどのAI機能を強化している米PTCのCEO、ニール・バルア氏らに製造業が抱える課題やAI活用の秘訣を聞いた。
構成:編集部 井内 亨   執筆:フリーライター 井上 健語

フリーライター 井上 健語

フリーのテクニカルライター。コンシューマからエンタープライズまで、初心者向けの記事からテクニカルな解説記事、広告記事、企業取材記事などを手がける。執筆した書籍はこれまでに約80冊。オールアバウトでは「パソコンソフト」「ワード(Word)の使い方」「MS Officeの使い方」のガイドもつとめる。2008年からWordカテゴリーでのMicrosoft MVP。
個人ホームページ:http://www.makoto3.net/
facebook:http://ja-jp.facebook.com/inouekengo

photo
PTC CEO ニール・バルア氏

AIが「システム連携」を根本から変える

 まずPTC CEOのニール・バルア氏は「私たちの顧客は、日々私たちや私たちの家族が使う製品を作っている、ライフラインに欠かせない会社です。ただし昨今は、地政学的変化、社会的変化、技術的変化という大きな変革の波が押し寄せています。そうした中で、彼らは従来のやり方から脱却する必要があります」と現状を分析。

 こうした状況を打破するため、PTCでは製品開発ビジョン「インテリジェント製品ライフサイクル(IPL:Intelligent Product Lifecycle)」を掲げている。これは、設計データと実機データをつなぎ、製品が“学習し続ける”ライフサイクルを実現する構想だ。従来のPLM(Product Lifecycle Management)が「設計~製造までの管理」だったのに対し、IPLは出荷後の運用データまで統合する点で異なる。  

 この変革を実現するために、図1にある3つの取り組みを推進する方針。そしてこれらの取り組みを通してIPLを実現するために必要不可欠なのがAIだ。

画像
【画像付き記事全文はこちら】図1:PTCが進める3つの取り組み
(PTC提供)

 AIが担う役割について、同社 最高マーケティング・サステナビリティ責任者 キャサリン・クニカー氏は「AIの役割は、複数のシステムを連携させる際の壁を破壊することです」と強調する。

photo
PTC 最高マーケティング・サステナビリティ責任者 キャサリン・クニカー氏

 この「壁」とは、CAD、PLM、ALMといった各システムが個別に最適化され、データがサイロ化している状態を指す。従来は、これらのシステム間でデータをやり取りするために、個別のインテグレーションを時間とコストをかけて開発する必要があった。

 AIは、各システム内のデータの文脈を理解し、システム横断で情報を解釈・連携させる「インテリジェントな通訳」として機能する。「AI時代にはMCP(Model Context Protocol)サーバのような標準化されたエージェント開発により、もはや1対1のインテグレーションは不要になります」とクニカー氏は述べ、AIがシステム連携のあり方を根本から変える可能性を示した。

データ“だけ”でない…AI精度向上の「必須条件」

 一方、AIを活用するにも「データ」は欠かせない。多くの企業が、設計や製造、製品リリース後の運用フェーズで得られるデータを収集し、AIに活用しようと努力している。中には専用のデータ基盤の構築を目指している企業もあるだろう。しかし、データ収集に課題を持つ企業も少なくない。

 こうした企業に対し、バルア氏は同社の強みでもある「コンテキスト」の重要性を説く。

「データには、そのデータがどういう場面や状況、条件で使われるのかという『コンテキスト』があります。データとともにこのコンテキストを持っていることが非常に重要であり、それがないとAIで精度を出すことは困難です」(バルア氏)

 これを踏まえ、クニカー氏は製品全体にAIを適用するため、エージェント層、データ層、モデル層という3つのレイヤーを持つアーキテクチャで製品を開発していると述べる。

「一番上のエージェント層は、AIエージェントがさまざまなタスクを実行する層です。そして、その下のデータ層が、AIモデルと外部ツールを連携するMCPサービスやRAGなどのデータを管理する層、一番下のモデル層がLLMなどのモデルを管理する層となります。このアーキテクチャに基づいて製品を開発することで、アウトプットの質・精度を高めたいと考えています」(クニカー氏) 【次ページ】ここだけに語った「日本の課題」と「AI活用の成功ポイント」
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

基本情報公開時のサンプル画像
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます

基本情報公開時のサンプル画像