• 2026/06/04 掲載

ついに“トヨタ超え”急騰キオクシアの裏で…半導体6社比較で見えた「AIバブル格差」(2/2)

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【6社徹底比較】最新決算から見えた半導体「新・勢力図」

 半導体関連6社の最新決算の売上・営業利益を横並びで徹底比較すると、AI半導体特需の恩恵を直接的に受けている企業と、市場環境の転換点で苦しむ企業の勢力図が鮮明になる。

 市場の期待を最も大きく超えたのは、アドバンテストとキオクシアである。アドバンテストは世界のSoCテスタ市場で圧倒的なシェアを握り、営業利益率は驚異の44.2%に到達した。キオクシアも販売単価の大幅な上昇により、第4四半期のNon-GAAP売上総利益率は66%に跳ね上がっている。

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半導体6社の決算まとめ
(編集部作成)

 一方で、日本最大の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンは、売上高こそ2兆4,435億円(前期比0.5%増)と過去最高を更新したが、営業利益は6,249億円(同10.4%減)の減益となった。同社は次世代技術に向けた研究開発投資を前期比11.1%増の2,778億円へと積み増しており、現在の利益を削ってでも将来の覇権を握りにいく強気の姿勢を示している。

 株価や市場の評価という観点では、即効性の高い利益成長を実現している“AI直結”企業(アドバンテスト、キオクシア)に資金が集中し、先行投資負担が先行する前工程メーカーや、在庫調整に苦しむ“景気敏感”企業(ローム、ルネサス)との間で評価の二極化が進んでいる。

 今後の業績予想を比較すると、勢いのある企業群の強気な姿勢が際立つ。アドバンテストは2027年3月期の通期予想で売上高1兆4,200億円、営業利益6,275億円と、さらなる大幅成長を見込んでいる。

 東京エレクトロンも2027年3月期上期だけで過去最高となる売上高1兆5,700億円、営業利益4,310億円を計画しており、同社の河合 利樹社長は「2026年より2027年が規模は大きくなると思うが、新たな引き合いや納期前倒しの要求も多く、顧客の投資タイミングによっては、2026年のWFE市場規模の上振れも想定される」と、かつてないビジビリティの高さと自信をのぞかせた。

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半導体6社の市場評価を大まかに分類
(編集部作成)

AI一本足打法の裏で…AIチップ無しで勝つ「意外な勝ち筋」

 現在の半導体市場は、一見すると生成AIへの投資に過度に依存する「AI一本足打法」に向かっているように見える。

 しかし、その内実は大きく変化している。生成AIの普及がチップの製造だけでなく、膨大なデータを処理・保存するためのインフラへと波及したことで、半導体需要の構造自体が変質したからだ。

 とりわけメモリー市況は完全に底打ちし、新たな成長軌道に乗った。AI推論サーバ向けの旺盛な需要がNAND全体の需要拡大をけん引しており、キオクシアは2026年のNAND市場全体のビット伸長率を「10%台後半(供給制約が見込まれる点を考慮)」と予測している。さらに「2027年は需要が供給を上回る状況を予想」しており、顧客が推論向け高性能品を優先して調達する動きが加速している。

 こうした中、日本企業が握る“意外な勝ち筋”として急浮上しているのが「先端パッケージング」と「次世代製造プロセス」の領域である。

 HBM(広帯域メモリ)の集積化やロジック半導体の3次元実装はもはや不可避のトレンドであり、東京エレクトロンは「アドバンストパッケージングについては、先端ロジックとHBM、両アプリケーションで非常に大きな引き合いをいただいている」と明言している。

 同社のボンディングやレーザー関連装置は、2026年から2030年までの累計で5,000億円まで成長させる計画であり、直近1~2年内に年1,000億円を超える規模への急拡大を見込んでいる。

 また、最先端工程における塗布・現像装置も、EUV(極端紫外線)リソグラフィの需要を取り込むことで、2027年3月期には前年比で50%以上の増収が見込まれている。AIチップそのものを作れなくても、その製造と実装における技術的ボトルネックを解消する装置群に競争力を持つ点に、日本勢の本当の強みが存在する。

「次の主役」は?バブル崩壊リスクと勝者の投資力

 半導体相場の次なる主役を探す上で、次に株価や企業価値が跳ねる条件は明確である。「次世代技術の歩留まり向上」と「消費電力の削減」に直結するソリューションを提供できるか否かだ。

 レーザーテックの次世代EUVマスク欠陥検査装置「ACTIS A200HiT」は、最先端ノードにおける歩留まり改善の切り札とされており、すでに複数台を受注している。「CY2027以降は、ACTIS A200HiTの導入が進み、受注はさらに拡大する見込み」との言葉通り、最先端ロジックの量産が本格化するタイミングで同社は再び主役に躍り出る可能性が高い。

 一方で、半導体バブル崩壊のシナリオも常に隣り合わせである。東京エレクトロンの経営陣は、強気な見通しを示す一方で「ホルムズ海峡の封鎖など地政学的なリスクはしっかり注視していかなければならない」と警戒感を隠さない。

 中東情勢の悪化によるサプライチェーンの分断や部材不足、あるいは米中摩擦による中国市場(2026年のWFE市場における中国構成比は30%台半ばと予測されている)の失速は、市場全体を冷や水にさらす最大のリスク要因である。

 激動の時代において長期で生き残る企業の共通点は、目先の利益にとらわれず、巨額の研究開発投資を継続できる強靱(きょうじん)な財務基盤と経営の意思にある。東京エレクトロンは2027年3月期において3,300億円もの研究開発費を投じる計画であり、キオクシアも過去最高のフリーキャッシュフロー3,950億円を創出してネットD/Eレシオを39%まで急改善させ、次なる投資への余力を蓄えた。勝敗の分かれ目は、この「未来への投資力」にあるかもしれない。

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