- 2026/08/07 06:20 掲載
【比較】村田製作所・イビデン・太陽誘電ら5社、「AIサーバ特需」で1番儲かるのは?
AIサーバ「特需の中身」をひも解くと…
米エヌビディアの最新AI基盤「GB300 NVL72」は、72基のBlackwell Ultra GPUと36基のGrace CPUを1つのラックスケールシステムに統合している。従来のサーバがCPUを中心に業務処理を担ってきたのに対し、AIサーバは大量のGPUを高速で協調させ、生成AIの学習や推論を同時並行で進める構造だ。GPUだけを増やせば完成するものではない。演算、給電、通信、冷却、データ保存のすべてを作り直す必要がある。
中でも難題となるのが電力供給である。GPUの処理能力が上がれば消費電力が増え、電圧の変動も大きくなる。そこで電気を一時的に蓄え、必要な瞬間に供給する積層セラミックコンデンサー(MLCC)や、ノイズを抑えるインダクター、フィルターの搭載量が増える。
村田製作所も、AIサーバでは電源が重大なボトルネックであり、消費電力の削減が最優先事項との認識を示している。
さらに、GPUやCPUと外部回路をつなぐICパッケージ基板にも変化が起きる。複数の半導体を組み合わせるチップレット化が進むほど、基板は大型化、高多層化、微細化する。面積が広がれば反りや微細な異物による不良が起きやすく、歩留まりの確保は難しくなる。その結果、量産実績を持つメーカーの価格交渉力が高まりやすくなる。
AIサーバ特需とは、単にGPUの販売台数が増える現象ではない。GPUの高性能化によって、電子部品の「搭載数」「要求性能」「製造難度」が同時に上昇する構造なのである。部品メーカーにとって重要なのは、AIサーバ関連の売上高だけではない。高付加価値品の構成比が高まり、どこまで利益率を押し上げたのか。そこに明暗が表れるのだ。
どう稼いでる? 5社と「AIサーバとの関係」
AIサーバを構成する部品に5社を当てはめると、各社が恩恵を受ける場所は大きく異なる。5社の製品群の中で、GPUやCPUに最も近い部品領域を担うのが、イビデンの主力であるICパッケージ基板だ。同社のICパッケージ基板は、半導体とマザーボードの間をつなぎ、高速な信号伝送と安定した電力供給を支える。高性能化に伴って基板が大型化し、配線が複雑になるほど付加価値は上がる。イビデンは2026~2028年度の3年間で、AIサーバや高性能サーバ向け基板を中心とする電子事業へ約5,000億円を投じる計画だ。
電源回路で存在感を持つのが村田製作所と太陽誘電である。両社の主力であるMLCCは、GPUやメモリー周辺で電圧を安定させる役割を担う。AIサーバでは大容量、小型、高信頼性を同時に求められ、一般的な電子機器向けより高付加価値になりやすい。
村田製作所は規模、品ぞろえ、顧客分散が強みだ。一方、太陽誘電はAIサーバ向けコンデンサーの拡大が業績へ直接表れやすく、需要の勢いを測る銘柄と言える。
TDKは異なる位置から特需を取り込んでいる。受動部品に加え、AIデータセンター向けニアラインHDDに使われる磁気ヘッドやサスペンションを手がけるためだ。
生成AIが扱うデータ量が増えれば、演算装置だけでなく、低コストで大容量データを保存できるストレージも必要になる。こうした背景から、TDKはニアラインHDDの需要が継続的に拡大すると見ている。
京セラは、半導体パッケージ、ファインセラミック部品、MLCC、タンタルコンデンサーなど複数の接点を持つ。ただし、AI専業ではなく事業領域が広い。そのため、AI需要が特定部品を伸ばすだけでなく、全社の収益構造をどこまで変えられるかが評価の分かれ目となる。
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