- 2026/08/07 06:20 掲載
【比較】村田製作所・イビデン・太陽誘電ら5社、「AIサーバ特需」で1番儲かるのは?(2/2)
【比較】5社の最新決算を分析
5社の最新決算(2026年4~6月期)において、利益額で最大なのは村田製作所だ。売上高は前年同期比20.7%増の5,022億6,400万円、営業利益は59.8%増の984億5,400万円となった。データセンター向けコンデンサーやEMI除去フィルターの増加が寄与した一方、円安も収益を押し上げた。TDKは売上高が38.3%増の7,410億500万円、営業利益が53.0%増の863億1,000万円。売上高は5社で最大。AIデータセンター向けニアラインHDD関連製品の出荷増に加え、円安、合理化、前期に進めた構造改革の効果が表れた。単一部品ではなく、HDD部品や受動部品など複数の経路からAI需要を取り込む構図だ。
高い利益率で目立ったのがイビデンである。売上高は26.4%増の1,232億1,900万円、営業利益は52.4%増の268億8,800万円だった。単純計算した営業利益率は約21.8%と、5社の中でも高い水準になる。高性能ICパッケージ基板は製造難度が高く、AI向け高付加価値品の増加が売上高以上の利益成長につながったと見られる。
太陽誘電は売上高が10.7%増の938億9,700万円、営業利益が53.3%増の48億1,800万円。コンデンサーの売上高は14.7%増の690億2,200万円となり、AIサーバ向けが好調だった。受注額を売上高で割るBBレシオは1.72と高水準に達したという。将来の売り上げにつながる受注が出荷を大幅に上回っている状態だ。
京セラは売上高が9.9%増の5,253億8,300万円、営業利益は2.6倍の491億100万円。コアコンポーネントの事業利益は67.9%増の238億2,600万円、電子部品は前年同期の30億800万円の赤字から87億8,200万円の黒字に転じた。AIデータセンター向け半導体パッケージや小型高容量MLCCなどがけん引したが、不動産売却益など一時的な要因を分けて見る必要がある。
勝者を決める「3条件」、総合力1位は?
今回の決算だけを見れば、利益額では村田製作所、売上規模ではTDK、利益率ではイビデンが目立つ。ただし、AIサーバ市場の「次の勝者」を決めるのは、現在の増益率だけではない。第1の条件は、GPUの世代交代によって1台当たりの使用量や単価が上がる部品を持つことだ。この点で優位に立ちやすいのがICパッケージ基板である。GPUの大型化やチップレット化が進むほど、基板の面積、層数、配線密度が増える。顧客認定や量産立ち上げにも時間がかかり、供給企業は簡単には入れ替わらない。
イビデンは大きな恩恵を受け得る一方、約5,000億円の投資に伴う減価償却費や、増産初期の歩留まり低下が利益を圧迫する可能性もある。成長余地と投資リスクがともに最大の企業だ。
第2の条件は用途分散である。村田製作所やTDKは、AIデータセンターのほか、スマートフォン、自動車、産業機器など幅広い需要先を持つ。AI投資が減速した場合でも、ほかの市場で下振れを吸収しやすい。
一方、太陽誘電はAIサーバ向け需要の伸びが受注に鮮明に表れている分、今後の業績上振れを期待しやすい。BBレシオが売上高に変わる速度と、生産能力の確保が焦点となる。
そして第3の条件は、一時的な追い風と構造的な成長を分けることである。今回の増益には、円安、構造改革、不動産売却益、前年同期の損失の反動も含まれる。したがって、次回以降の決算では、AI関連製品の数量、製品構成、営業利益率、受注残を確認する必要がある。
現時点で総合力が最も高いのは村田製作所、AIサーバの高性能化による利益拡大余地が大きいのはイビデン、受注の勢いが最も分かりやすいのは太陽誘電と評価できる。TDKはストレージ需要という独自の経路を持ち、京セラはAI関連部品の成長を全社改革へ波及できるかがカギとなる。
AIサーバ特需の勝敗は、GPUからの距離ではなく、性能向上によって部品の価値をどこまで高められるかで決まるのである。
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