- 2026/10/31 06:50 掲載
【比較】なぜ安川だけ減益…ファナック・三菱電機ら「フィジカルAI特需」の残酷な選別(2/2)
受注は伸びても利益は別…明暗を分けた「3つの差」
2つ目の差は、製品構成である。6社の決算を通して見ると、伸びているのはAI・半導体関連の設備投資に結びつく製品が中心だ。川崎重工業は通期の見通しについて「自動車向けロボットの減少はあるものの、半導体製造装置向けロボットの増加」を見込むとしている。安川電機でも、データセンターや半導体の投資を追い風にしたモーションコントロール事業が増益を確保した。一方で、ロボット本体の需要は用途によって濃淡があり、ファナックでもロボット部門の受注の伸びはFA部門ほど大きくなかった。
3つ目の差は、一時的な費用だ。安川電機はロボット事業の減益について、日本での基幹システム移行に伴う売上の減少と、欧州での事業構造改革費用の一時的な計上を理由に挙げている。つまり、ロボット事業の落ち込みには需要の弱さだけではなく、社内の要因も含まれている。
ただし、同社は売上収益予想を引き上げる一方で営業利益予想を引き下げており、利益面の回復にはなお時間がかかる可能性もある。受注の伸びと利益の伸びは必ずしも一致しない。決算を読むときは、受注の数字と、利益を押し下げた一時的な要因とを分けて見る必要がある。
さらに、ナブテスコでは精密減速機を含むコンポーネントソリューションセグメントの売上高が455億円(前年同期比23.6%増)、営業利益が48億円(同160.8%増)となった。同社は「中国・韓国の自動車メーカーを中心とした産業用ロボット向けや一般産業向けでも需要が好調に推移」したと説明している。ロボット本体メーカーの業績がまちまちな中で、関節部品を供給する側にも需要が広く及んでいることがうかがえる。
【ロボ特需の勝ち筋】次の決算で見るべき「2点」とは
2つ目の点は、事業の「選択と集中」である。三菱電機は10月20日、低圧遮断器や電磁開閉器などを手がける配電制御機器事業をABBの日本法人との合弁に移し、新会社株式の51%を824億円で譲渡すると発表した。発表資料では、狙いを「総合的なグローバル競争力の強化」としている。FAシステム事業本部の事業でありながら、経営の主導権をABB側に委ねる判断をしたことになり、伸びる分野に経営資源を寄せる動きは他社にも広がる可能性がある。ファナックも、日立製作所とフィジカルAIの実装で戦略的パートナーシップを結んでおり、ソフトウェアやAIとの組み合わせ方が次の競争軸になりそうだ。
決算の日程も確認しておきたい。川崎重工業のIRカレンダーでは11月10日、ハーモニック・ドライブ・システムズのIRカレンダーでは11月11日、ナブテスコのIRカレンダーでは11月13日に決算発表が予定されている。いずれも、受注の勢いが利益にまで届いているかを確かめる場になる。
フィジカルAIという言葉は同じでも、決算に表れる恩恵は企業によって大きく異なる。ロボット本体だけを見るのではなく、FA機器や減速機まで含めて、受注の質と利益の伸びを見極めることが、特需の勝ち組を見分ける近道になる。
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