- 2026/10/31 06:50 掲載
【比較】なぜ安川だけ減益…ファナック・三菱電機ら「フィジカルAI特需」の残酷な選別
ファナックは受注49%増、なぜ安川は減益なのか
フィジカルAIの本命とされる日本のロボット・FA(ファクトリーオートメーション)企業の決算で、くっきりと明暗が分かれ始めた。ファナックは23日、2026年4~9月期の連結決算を発表し、通期予想を上方修正した。上期の売上高は4,737億円(前年同期比16.2%増)、営業利益は1,167億円(同35.7%増)で、営業利益率は24.6%に達する。勢いを示すのが受注だ。7~9月期の受注高は3,060億円と前年同期から49.0%増え、通期の売上高予想は1兆137億円(前期比18.2%増)と初めて1兆円を超える見通しになった。営業利益も2,407億円(同31.0%増)を見込み、上限500億円の自社株買いもあわせて打ち出している。
一方、安川電機は、同じロボット大手でも苦しい決算となった。9日に発表した2026年3~8月期の連結決算は、売上収益が2,856億円(前年同期比9.8%増)と伸びたものの、営業利益は221億円(同5.5%減)にとどまった。とりわけロボット事業の営業利益は60億円と、前年同期から43.3%も減っている。同社は通期の売上収益予想を6,000億円に引き上げる一方で、営業利益予想は600億円から575億円へ引き下げた。
ファナックと安川電機、川崎重工業の3社は、生成AIでロボットを動かす「VTLA」モデルの共同開発でも手を組む間柄である。フィジカルAIへの期待は同じように背負っているはずなのに、なぜ決算はここまで違うのか。三菱電機や減速機メーカーまで視野を広げると、「特需」が実際に誰の決算に表れているのかが見えてくる。その差を、6社の最新決算から読み解こう。
【6社決算比較】ファナック・安川・三菱電機らの明暗
まず、ファナックの強さは利益率に表れている。上期の営業利益率24.6%は、6社の中でも際立つ水準だ。同社の決算説明資料で7~9月期の受注を部門別に見ると、FA部門が前年同期比130.1%増、工作機械などのロボマシン部門が72.3%増と大きく伸びた一方、ロボット部門は12.6%増と相対的に控えめだった。ファナックの好決算を引っ張っているのは、ロボットそのものよりも、工作機械を動かすCNC(数値制御装置)などのFA事業なのである。
これに対して安川電機は、事業によって明暗がはっきり分かれた。同社の決算短信によると、サーボモーターなどのモーションコントロール事業は、売上収益が1,373億円(前年同期比21.7%増)、営業利益が160億円(同32.8%増)と好調だった。データセンターや半導体の投資が追い風になった格好だ。一方のロボット事業は、売上収益が1,184億円(同0.7%減)と横ばいにとどまり、利益が大きく落ち込んでいる。
三菱電機が10月30日に発表した2026年4~9月期の連結決算は、売上高が3兆1,251億円(前年同期比14.4%増)、営業利益が3,581億円(同59.6%増)だった。インダストリー・モビリティ部門のうちFAシステム事業に限ると、売上高は4,823億円と前年同期比28%増え、調整後営業利益も822億円と前年同期から490億円増えた。受注高は48%増の5,926億円となった。
同社によると、AI・半導体関連需要の拡大を背景に、国内・中国・韓国などで半導体、電子部品、サーバー向けなどの設備投資需要が増加。増益には円安や売上高の増加なども寄与したという。併せて通期予想も上方修正。売上高を従来予想から2,800億円増の6兆5,500億円、調整後営業利益を900億円増の7,100億円とした。
川崎重工業の2026年4~6月期は、連結の売上収益が5,435億円(前年同期比11.3%増)、事業利益が357億円(同74%増)。精密機械・ロボットセグメントのロボット受注は356億円と前年同期から154億円増え、同社はその理由を「半導体製造装置向けロボットの増加など」としている。
減速機の2社も好調だ。ナブテスコの2026年1~6月期は、連結売上高が1,674億円(前年同期比16.8%増)、営業利益が158億円(同69.4%増)だった。ハーモニック・ドライブ・システムズの2026年4~6月期は、連結売上高が167億円(同23.6%増)、営業利益は18億円と、前年同期の1億円余りから約15倍に増えた。
こうして並べると、6社のうち本業の利益が前年を下回ったのは安川電機だけだ。では、同じ追い風の中で何が明暗を分けたのか。
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