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2013年06月25日

ノークリサーチ連載:中堅・中小企業市場の解体新書

中堅・中小企業が、円安でも国内景気回復でも海外ビジネスを検討しておくべき理由

長らく続いた円高は、製造業を中心に大企業のみならず中堅・中小企業に対しても海外への進出を後押しする大きな要因となってきた。だが、2012年末の政権交代以降は円安が進み、国内回帰への流れを予測する見方もある。しかし、このまま円安傾向が続けば、中堅・中小企業にとって海外進出は不要のものになるかといえば決してそうではない。今後の人口減少などを考えれば、製造業以外の業種においても、中国や東南アジアを新たな市場として開拓する必要が出てくるだろう。そこで、今回は中堅・中小企業にとっての海外進出とIT活用との関わりについて見ていくことにする。

執筆:ノークリサーチ 岩上由高

新興国を新たな市場ではなく、安価な労働力と捉える中堅・中小企業

 以下のグラフは海外へのビジネス展開を実施/予定している年商500億円未満の中堅・中小企業に対し「海外ビジネス展開の目的(複数回答可)」を尋ねた結果のうち、代表的な項目の経年変化を表したものである。

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海外へのビジネス展開を実施/予定している主な目的(いくつでも)


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 大企業においては日産自動車による小型セダン「サニー」のベトナムでの生産開始や、味の素ブランドの食用油を販売するJ-オイルミルズが、日本と食習慣の大きく異なるインドへ進出するなど、「自社の最終製品の製造拠点」「日本国内と異なる商材を日本国内と異なるビジネス形態で展開」に該当する取り組みが進んでいる。

 一方、上記のグラフが示すように中堅・中小企業においては「自社の最終製品の製造拠点」「日本国内と異なる商材を日本国内と異なるビジネス形態で展開」といった目的での進出は徐々に減少しておきており、「データ入力などの事務作業の委託先」「顧客応対の拠点(コールセンタなど)」といった目的が増えてきている。

 つまり、海外(主には新興国)を「新たな市場」としてではなく、「安価な労働力の供給源」と捉えているわけだ。

「チャイナプラスワン」の次はあるのか?

 確かに最終製品の製造や新たな商材の流通には多大な資本が求められる。中堅・中小企業としては安価な労働力を求める手段として海外ビジネスを捉える方が現実的だろう。

 だが、安価な労働力がいつまでも手に入るとは限らない。以下のグラフは海外へのビジネス展開を実施/予定している年商500億円未満の中堅・中小企業に対して「今後、新たに拠点設置を伴うビジネス展開を予定している最も主要な地域」を尋ねた結果の経年変化を表したものだ(上位10地域のみをプロットしている)。

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(クリックで拡大)

今後新たに拠点設置を伴うビジネス展開を予定している地域のうち最も主要なもの



 中国(台湾を除く)が大きく減少し、ベトナム/タイ/インドネシア/マレーシア/ミャンマーといった地域が増加する傾向にある。

 中国については領土問題に起因する日中関係の悪化を挙げる声もあるが、減少理由として最も多く見られたのは「賃金の上昇」である。経済発展が進むにつれて中国の労働賃金は急速に上昇し、「安価な労働力」というメリットが薄れてきている。それを補うために相対的に賃金が安いとされる東南アジアへのシフトが起きている。

 こうした動きは「チャイナプラスワン」と呼ばれる。中国だけでは賃金上昇や国際関係でのリスクが生じるため、拠点をもう一つ設けておくことで回避するわけだ。

 だが、タイに代表されるように、東南アジアとのビジネス交流は今に始まったことではない。また昨今では東南アジアのいずれの地域においても労働賃金は上昇傾向にある。いずれは中国と同じように「安価な労働力」というメリットは薄れてくるだろう。

 では、その次は何処へ進出するのか?仮にそうした地域が見つかったとしても、日本と地理的に離れてくるため、物流面でのコスト上昇などが問題となってくるだろう。つまり、安価な労働力のみを求めた海外進出は中長期的には限界を迎える可能性がある。

【次ページ】海外での市場開拓を見据えたIT関連の販社/SIer選び方

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