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- 2023/10/11 掲載
「高齢者人口」が初の減少、拍車かかる日本企業の人手不足と危機的状況
「働く高齢者の統計」で初めて減少に転じた「高齢者人口」
今年9月17日に発表された、『統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』から、どのようなことがわかるだろうか。まず、今回の統計で「初めて減少に転じた」項目がある。それは高齢者人口だ。65歳以上の高齢者人口は、2022年より1万人減少し、3623万人となった。1950年以降、73年間で初めての出来事だ。
総人口に65歳以上の高齢者が占める割合は、前年に比べ0.1%増えた29.1%となっているので、少子高齢化は相変わらず進んでいる。つまり、少子高齢化は進みつつ、人口減で高齢者までも減り始めたということだ。
「シニアが減れば若手にチャンスが来る」と思う人も多いだろうが、状況はそれだけでは済まない。「若手はさらに少なく、専門スキルを持ったシニアも減って、ますます人材不足が加速する」。そんな状況にこれからの日本はなってしまうかもしれない。
有能なシニアは企業からの引く手あまた
65~69歳の非正規の従業員の割合は、3年連続で低下している。高齢雇用者全体では、2021年よりも0.5ポイント上昇し、76.4%が非正規雇用となっている。しかし、65~69歳については2019年以降3年連続で低下し、2022年は74.7%だった。65~69歳、70~74歳、75歳以上いずれも就業率が過去最高となる中で、さすがに70歳以上が正規雇用となるケースは少なく、一方、65~69歳については正規雇用となるケースが増えていることが要因だと仮説立てられる。
さらに、就業希望の男性の高齢者の希望職種が、「専門的・技術的職業」が「仕事の種類にこだわっていない」を除くと13.4万人と最も高い。未経験でもできる簡単な仕事ではなく、これまでの経験を活かした仕事を定年後も続けたい人が多いことがわかる。
現在、専門スキルを活かしながら65歳以上でも正規雇用で活躍するシニアが一定数いる。しかし、高齢者人口が減少に転じた事実を考えると、そんな専門スキルを持ったシニアは今後ますます不足するだろう。 【次ページ】シニアと企業の間にある大きな「ズレ」
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