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- 2023/10/18 掲載
【徹底解説】50年の歴史で初、全銀システムの障害をどう考えるか? 事件の全貌と論点とは
システム障害の発生と対応の経緯
障害が発生したのは10月10日であるが、以下のような時間的な経緯をたどっている。日時 | 発生事象 | |
7~9日(3連休) | 全銀システムと各金融機関をつなぐ中継コンピュータ(Relay Computer:RC)の更新作業を14行で実施 | |
10日 | 午前8時半ごろ | 業務開始するも不具合を検知 |
午前9時半ごろ | RCのシステムをリブート(再起動)するも復旧に失敗 | |
午前10時前 | 11行における障害発生を公表 | |
午後2時半ごろ | 代替手段による送金作業に着手 | |
深夜~11日未明 | プログラム改修による復旧を試みるも失敗 | |
11日 | 午後6時ごろ | 遅延した送金が255万件と公表 |
深夜~12日未明 | プログラム改修を再度実施し、復旧作業完了 | |
12日 | 早朝 | 復旧による正常稼働開始の目処を午前8時半と発表 |
午前10時ごろ | 正常稼働を確認、復旧を公表 | |
午後3時半ごろ | 遅延していた送金処理がすべて完了したことを発表 | |
13日 | 全銀ネットが金融庁より報告徴求命令を受領 |
今回のRCの更改作業は全銀ネットが6年ごとに行っている定期更改の一環で、障害が生じた金融機関は2023~29年に24回に分けて移行するうちの第一陣であった。
移行に伴うハード・ソフトの入替作業を行うとともに、本番稼働前の9日までに実証テストを行っていたが、10日の本番稼働後すぐに内国為替制度運営費(銀行間で支払う手数料)をチェックするプロセスの処理に問題が発生していることが判明、移行対応した14行のうち10行で振込が処理できない事態に陥った。
障害が発生しなかった3行は手数料チェックを自行システムで実施していたために難を逃れたほか、当初は名前が挙がっていたJPモルガン・チェース銀行は、移行対応を実施したのが夜間用のモアタイムシステムだったため、顧客影響は発生しなかった。
特に三菱UFJ銀行とりそな銀行という顧客数の多い銀行が含まれていたことに加え、障害の発生した10日は3連休明けのいわゆる「5・10日(ゴトオビ)」と、各種支払いの多い日にあたったこともあり、2日間にわたる影響を受けた振込総件数は506万件に達した模様である。
なぜこのような事態に陥ったのか、障害をめぐる主な疑問を次頁以降で解説する。 【次ページ】「全銀システム障害」の全貌と論点とは?
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