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  • 2024/01/17 掲載

パワーカップルが見た「地獄」、知られざるペアローンの“リスク多すぎ問題”

連載:どうなる? これからの日本の不動産

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共働きが一般的な現在。結婚して新居を構える際、「ペアローン」で新築マンションを購入しようとする方々も多いのではないだろうか。しかし、このペアローン、安易に組むと後々「地獄」を見るはめになる。一体ペアローンの何がマズいのか。知られざる危険性を解説する。
執筆:不動産ジャーナリスト 榊淳司

執筆:不動産ジャーナリスト 榊淳司

不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。 1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。 主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。 東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を 有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。 その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。 主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、 「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、 「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。 「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」 などテレビ、ラジオの出演多数。 早稲田大学オープンカレッジ講師。

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ペアローンで見る「地獄」とは一体何か
(Photo/Shutterstock.com)

平均年収でマンションを買うのは「無理ゲー」

 マンション価格の高止まりが続いている。

 調査会社の不動産経済研究所が2023年12月に発表した市場動向によると、東京23区新築マンション1戸あたりの平均発売価格は1億2,811万円。東京23区の上半期の平均発売価格としては、バブル期の1991年の9,555万円を上回った。その後、やや軟化傾向が見られるものの、現在も依然として高水準を維持している。

 一方、2022年の国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、日本の平均年収は458万円であり、男性は563万円、女性314万円となっている。東京都の場合はこの水準を1~2割程度は上回ると推定できるが、それでも23区のマンション平均価格の十数分の1の水準に過ぎない。

 住宅ローン融資の限度額は、通常年収の7~8倍とされる。つまり、平均的な所得では到底東京23区ではマンションが買えない、ということになる。

 しかし、東京23区でのマンション販売はそれなりに「好調」である。少なくとも「販売不調で在庫の山」ということはない。中には建物が完成したあとで1年以上も販売を続ける物件もあるが、結局は売れてしまっているのが現実だ。

 では、平均年収の十数倍まで値上がりしたマンションが、なぜ売れるのだろうか?

ペアローンで問題になる「ある問題」

 その答えは、夫婦2人で力を合わせる「ペアローン」である。

 ここ10年ほどの傾向として、都心周辺や近郊でのマンション購入の場合、ペアローンの購入が主流となった。最近では価格が上がりすぎてペアローンでないと買えない、という実情があるからだ。

 たとえば、1億円のローンを組む場合に必要な年収はおおよそ1,500万円。これを単独で得ている人は少ない。しかし、ともに平均以上の収入がある、いわゆる「パワーカップル」のように、夫婦合わせると手が届くケースがあるのだ。

 夫婦2人の世帯年収を基にローンを組むことで、購入したマンションの名義は共有になる。ペアローンを組む場合、ご夫婦がローン返済期間の35年間を仲睦まじく過ごすことはもとより、2人とも返済期間中はローンを組んだ時点の収入を減らすことができない。仮に片方が収入を減らした場合は、もう一方がそれを補わねばならなくなる。

 結婚後も夫婦共働きがいたって普通のことになった現在、一見合理的な選択に思えるペアローンだが、安易に組むのはやめた方がいいというのが筆者の見解だ。

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安易にペアローンを組む危険性はどこにあるのだろうか
(Photo/Shutterstock.com)

 その理由としては、まず日本の離婚率の高さが関係する。

 内閣府男女共同参画局の調査によると、日本では毎年約60万組が結婚する。しかし、約21万組の離婚も発生している。つまり、日本の夫婦は3分の1の確率で離婚するのだ。周りを見渡していただきたい。離婚経験者はゴロゴロいるはずだ。

 そして、離婚した夫婦がもしペアローンを組んでいる場合、かなり複雑な問題を処理する必要に迫られる。つまり、共有名義のマンションをどうするのか?という問題である。

 最も簡単なのは片方がもう一方の残債をすべて引き受けることだろう。手法としては、残債分の現金を相手方に渡して銀行に返済する。そして相手方分の抵当権を外し、単独の所有に変える。

 しかし、これを行うには単独の所有にしようとする側が、もう一方の残債分の現金を用意する必要がある。会社員夫婦なら、無理な場合がほとんどだ。 【次ページ】ペアローン清算で「大揉め」するケースとは?

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