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  • 2025/06/06 掲載

採用してもすぐ辞めがちな建設業界…「創業50年」企業が大成功した「若手定着」3施策

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せっかく採用してもすぐに辞めてしまう──こうした悩みを持つ建設会社は多いだろう。事実、新規高卒就業者で見ると、2021年の3年以内離職率が建設業で43.2%だった。全産業では36.9%のため、いかに離職率が高いかがわかるだろう。こうした中、24年間で売上高が13倍超になるなど急成長を遂げる成友興業は、独自の取り組みによって平均年齢約31歳という若い組織を実現させている。そこで本稿では、成友興業の取り組みを紹介しつつ、人材確保と定着・育成を成功させるためのヒントを探る。
執筆:タナベコンサルティング ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部 チーフマネジャー 西村 隆志

タナベコンサルティング ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部 チーフマネジャー 西村 隆志

東証プライム上場建設資材メーカーにて道路資材・景観資材やスポーツ用途人工芝を提案するスペック営業を経て、当社に入社。建設会社を中心に中期経営計画策定や長期ビジョン策定などの事業戦略立案から業務改善、人材育成支援まで多岐にわたるプロジェクトに参画。「クライアント目線」を第一に、経営・業務課題に真摯に向き合い成長支援を行う。

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人材を「定着しない」「確保できない」建設業界において、成友興業はどのような取り組みで課題解決につなげているのだろうか(後ほど詳しく解説します)

人手不足の現在地、3年以内離職率は「なんと43.2%」

 建設業界では、長年にわたり人手不足の課題が根強く残っている。こうした中でも、昨今は「働き方改革関連法」における労働時間の規制、少子高齢化による現役世代の人員減少、転職市場の活性化などにより、さらに人手不足が深刻な状況だ。

 国土交通省の調査「建設業を巡る現状と課題」によれば、建設業就業者数は2013年の500万人から2022年には479万人となり、9年間で4.2%減少している(図1)。

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図1:建設業の就業者数は9年間で4.2%減少している
(出典:国土交通省「建設業を巡る現状と課題」)


 また高齢化の進行を見ると、2022年の建設業就業者のうち、55歳以上が35.9%、29歳以下が11.7%。全産業と比較しても高齢化が進んでおり、若手の比率が低いことから、次世代への技術継承が深刻な問題となっている。

 さらに、厚生労働省「新規学卒者の離職状況」で、新規高卒就業者における就職後3年以内の離職率を産業別に見ると、2021年は建設業が43.2%、製造業が28.8%、運輸業が36.4%、調査産業全般で36.9%(図2)。他産業または調査産業全般と比較しても、建設業は高い離職率で推移しているのだ。

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図2:建設業の離職率は43.2%と、若手が定着しないという課題が浮き彫りとなっている
(出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」を基にタナベコンサルティング作成)


 このように建設業で若手人材が定着しない理由として、厚生労働省が調査した「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書」では「作業が身体的にきつい」が51.5%と最も高く、以下「(若年技能労働者の)職業意識が低い」が36.5%、「年齢の近い先輩が少ない」が29.8%といった理由が続いている。若手人材を定着させるためには、労働環境を改善しつつ、モチベーションを向上させる仕組みが必須となる。

人材定着に向けた主な「5つの改善策」

 建設業の人材定着における課題を解決するために、各社がさまざまな対策を実施している。主な実施内容は以下の通りである。

  1. 労働環境の改善
  2. ワークライフバランスの推進
  3. 給与・待遇など人事制度の見直し
  4. 社内コミュニケーションの促進
  5. 成長ビジョン・キャリアパスの明確化

 ここからは、東京都あきる野市に本社を置く成友興業の成功事例を紹介する。

 同社は上記に挙げているような取り組みを徹底してきたことで、従業員の平均年齢が業界平均より約10歳も若い約31歳を実現した。本稿では、同社の主な取り組みとして3点を取り上げつつ、人材定着で成果を上げるためのヒントを探る。 【次ページ】成友興業の人材定着「3つの施策」
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