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クラウド活用はビジネスを加速させる上で欠かせない要素だが、国内企業を見ると、全社的にクラウドを活用できている企業は5割程度にとどまり、残りの半数はオンプレミス環境にあるレガシーシステムを活用し続ける状況にあるという。クラウドの導入・移行を望む企業も多い中で、なぜこれほど国内企業のクラウド化は進まないのだろうか。そうした中、他社に先駆け2014年には「完全クラウド化」を実現していたクラウド超先進企業とも言える大和ハウス工業が実践した「レガシーシステムから脱却するための方法」について聞いた。

クラウド化は、老朽化したレガシー環境の脱却とDX推進の糸口

 長年、大和ハウス工業の情報システム部長として、同社の完全クラウド化のプロジェクトを主導してきた加藤恭滋氏は、現在、あらゆる企業に対してICT経営の支援を行うCIO Lounge(CIOラウンジ)の副理事長を務めている。

 同法人は、企業IT部門責任者の現役およびOB66名で構成される正会員並びに企業経営者OBのアドバイザー5名と104社のサポート会員企業(ITベンダー、コンサルファームなど)を擁する非営利団体であり、多彩なスキルを持つITエキスパートが、ユーザー企業のITの悩み相談に応じている。その中でも最近特に多いのが、新環境の構築時のクラウド活用に関する相談だという。

 一方、経済産業省は2018年の「DXレポート」の中で、企業がDXを推進できないことによる経済損失を「2025年の崖」と呼び、以後年間最大12兆円もの損失が発生し続けると警鐘を鳴らした。また同レポートでは、約8割の企業が老朽化・複雑化したレガシーシステムを抱えているというデータも示され、我が国の企業が抱えるIT活用およびDXの課題を浮き彫りにした。

 加藤氏は「2023年の国内のクラウドサービスの利用状況の推移(総務省「令和5年通信利用動向調査の結果(概要)」)を見ても、全社的な利用は5割程度にとどまり、残りの約半数の企業が旧来の環境から脱却できていない状況がうかがえます。コロナ禍という外圧で、日本企業のデジタル化は加速したが、決して本気で取り組んできたとは評価できない」と厳しく指摘する。

 こうしたレガシーシステムがDX推進の足かせとなる現状を変革することが、日本のデジタル化の進展、国際競争力の強化の基盤となることは言うまでもない。どうすれば、レガシーシステムから脱却することができるのか。ここからは、大和ハウス工業の完全クラウド化の事例をもとに、同プロジェクトを率いた加藤氏が、レガシー環境脱却の具体的な筋道を解説する。

この記事の続き >>

  • ・香港、台湾、韓国に惨敗…「デジタル競争力」で日本は世界何位か?
    ・何から着手した?大和ハウス工業「完全クラウド化」までのプロセス解説
    ・クラウド導入・移行の成功の秘訣、「基幹システムから着手」がよくない理由
    ・夜間対応や休日出社が激減…「完全クラウド化」は社内をどう変えたか?
    ・これからクラウド移行を検討する企業に伝えたい…「6つの注意点」

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