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- 2024/02/12 掲載
日本経済が衰退した「最大の根本原因」、論文数の世界ランクで読み解く「復活のカギ」
日本の論文数は世界6位に転落……
日本人の能力を世界と比較すると、どの程度の水準だろうか?能力を直接比較することは難しいが、それを判断する1つの指標として、文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が公表する「科学技術指標」にある論文数のデータがある。能力が高ければ、多数の、そして質の高い論文を書くことができるだろう。
「科学技術指標」にはいくつかの指標が示されている。まず、「1年あたりの論文数」。2023年版にある2019-2021年(平均)を見ると、図表1に示すように、日本は整数カウント法で世界6位だ(図1)(注)。
日本のGDPは、2023年にドイツに抜かれて世界第4位になったと考えられるので、ほぼそれと同じ順位だ。
6位に甘んじてはいけない「第1の理由」
かつて日本の地位はもっと高かった。1999-2001年平均では、日本は米国に次いで、世界第2位だったのだ。今でも、世界第6位であれば、満足すべきだとの考えもあり得るだろう。だが、そうとも言えない。
第1の理由は、上で見たのは、国・地域全体としての論文数であることだ。しかし、当然のことながら、人口が多ければ、科学者の数も多くなるから、論文数も多くなる。そのため、実際は人口あたりの論文数を見るべきだろう。
そこで、人口100万人当たりの論文数を計算してみた。その結果を図2に示す。
図1と図2では、順位が大きく違う。まず、日本の順位は劇的に下がる。
図2を見ると、日本は18位。韓国や台湾は、論文数では日本より少ないのだが、人口が日本より少ないので、100万人当たりでみれば、順位が日本より高くなってしまう。上位にあるのはヨーロッパの小国だ。世界第1位が、スイス。
映画「第三の男」に、「ボルジア家の圧政はルネサンスを産んだ。それに引き換え、スイス500年間の平和は何を産んだか? 鳩時計だけだ」というオーソン・ウェルズの有名なセリフがある。このセリフは、まったく間違っていたのだ!
なお、人口当たりで見れば、中国の順位はかなり低くなる。
図2の順位は1人当たりGDPの順位と似ている。1人当たりGDPの場合、為替レートがここ数年間で円安になったことの影響で、日本の地位が低下している。しかし、図2の順位では為替レートは関係ない。その意味で、より的確に日本の国力を反映していると考えることもできる。
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