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  • 2024/02/12 掲載

日本経済が衰退した「最大の根本原因」、論文数の世界ランクで読み解く「復活のカギ」

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

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日本の論文数は世界6位で、国民1人当たりで見るとさらに低く、世界最低レベルの水準となる。共に順位は下落傾向にあるが、実は日本経済と似た推移をたどっていることがわかる。これをひも解くと、日本経済衰退の根本原因がわかる。

執筆:野口 悠紀雄

執筆:野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Twitterアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

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日本経済の衰退と論文数の順位低下はどのような関係にあるのか(後ほど詳しく解説します)

日本の論文数は世界6位に転落……

 日本人の能力を世界と比較すると、どの程度の水準だろうか?

 能力を直接比較することは難しいが、それを判断する1つの指標として、文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が公表する「科学技術指標」にある論文数のデータがある。能力が高ければ、多数の、そして質の高い論文を書くことができるだろう。

 「科学技術指標」にはいくつかの指標が示されている。まず、「1年あたりの論文数」。2023年版にある2019-2021年(平均)を見ると、図表1に示すように、日本は整数カウント法で世界6位だ(図1)(注)

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図1:論文数の世界ランキング(~25位)。日本は1999年-2001年平均で2位だったが下落傾向にある
科学技術指標2023を基に筆者が加工・作成)

注) 外国の研究者との共著論文の場合の寄与を決めるのに、「整数カウント法」と「分数カウント法」がある。整数カウント法とは、「論文の生産への関与度(論文を生み出すプロセスにどれだけ関与したか)」を示す。分数カウント法とは、たとえば1件の論文が日本の機関と米国の機関共著の場合、日本を1/2、米国を1/2と数える方法だ。分数カウント法では第5位となっている。

参考文献: 文部科学省科学技術・学術政策研究所、科学技術指標2021及び科学研究のベンチマーキング2021、2021年9月2日。

 日本のGDPは、2023年にドイツに抜かれて世界第4位になったと考えられるので、ほぼそれと同じ順位だ。

6位に甘んじてはいけない「第1の理由」

 かつて日本の地位はもっと高かった。1999-2001年平均では、日本は米国に次いで、世界第2位だったのだ。

 今でも、世界第6位であれば、満足すべきだとの考えもあり得るだろう。だが、そうとも言えない。

 第1の理由は、上で見たのは、国・地域全体としての論文数であることだ。しかし、当然のことながら、人口が多ければ、科学者の数も多くなるから、論文数も多くなる。そのため、実際は人口あたりの論文数を見るべきだろう。

 そこで、人口100万人当たりの論文数を計算してみた。その結果を図2に示す。

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図2:人口100万人当たり論文数の世界ランキング(~25位)。日本の順位は図1よりも劇的に下がる
(図1のデータより筆者作成)

 図1と図2では、順位が大きく違う。まず、日本の順位は劇的に下がる。

 図2を見ると、日本は18位。韓国や台湾は、論文数では日本より少ないのだが、人口が日本より少ないので、100万人当たりでみれば、順位が日本より高くなってしまう。上位にあるのはヨーロッパの小国だ。世界第1位が、スイス。

 映画「第三の男」に、「ボルジア家の圧政はルネサンスを産んだ。それに引き換え、スイス500年間の平和は何を産んだか? 鳩時計だけだ」というオーソン・ウェルズの有名なセリフがある。このセリフは、まったく間違っていたのだ!

 なお、人口当たりで見れば、中国の順位はかなり低くなる。

 図2の順位は1人当たりGDPの順位と似ている。1人当たりGDPの場合、為替レートがここ数年間で円安になったことの影響で、日本の地位が低下している。しかし、図2の順位では為替レートは関係ない。その意味で、より的確に日本の国力を反映していると考えることもできる。

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次のページ以降では、日本と世界の論文数をさらに深堀しつつ、日本経済衰退の原因などを探っていく
【次ページ】6位に甘んじてはいけない「第2の理由」

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