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- 2025/10/21 掲載
「監督局」分割の衝撃、石破退陣の裏で進む「金融庁再編ドミノ」の行く末とは?
元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」

存在理由を問われた「監督局」、分割で再出発へ
2025事務年度の金融行政方針で特に注目を浴びたのが、金融庁における組織体制の抜本的な見直し案です。
本文中には「監督・モニタリングの高度化を更に進めるため、業務の一層の増加が見込まれる監督局を2局体制とし、『資産運用・保険監督局』及び『銀行・証券監督局』を設置することを目指す」と記されています。どういうことなのか、状況を一度、整理しておきましょう。
現在の金融庁は3つの局で構成されています。総合政策局、企画市場局、そして今回焦点が当てられている監督局です。
監督局は、旧大蔵省から監督部門を切り離して独立した経緯を持つ金融庁にとって、自らの存在理由そのものと言えます。「金融事業者」を監督し、問題が認められれば業務停止命令や業務改善命令といった行政処分を判断・発出する強大な権限を持っています。
「金融事業者」とひと口に言っても、実際には銀行や証券会社、保険会社、資産運用会社などその形態はさまざまです。それぞれの業界に対応した部署があり、その監督業務を専門的に担う人材が配置されています。
この多岐にわたる業界の監督を一手に引き受けてきた監督局を、「銀行・証券」、「資産運用・保険」の2つに分けるというのが、今回の組織改編案の骨子です。
いっそのこと、「銀行局」「証券局」「保険局」「資産運用」の4つに分ければよいのでは……と思われるかもしれません。しかし、局の数を増やし人員を増強することは法改正の必要もありハードルが極めて高く、「内閣人事局との折衝を円滑に進めるための現実策を取った」(金融庁OB)との見方が大勢です。 【次ページ】大規模な組織改編計画は”岸田路線”継承の証?
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