• 2025/11/19 掲載

【完全解説】銀行システムが無防備に? 金融庁注視「量子による暗号崩壊シナリオ」とは

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量子コンピューターが金融業界にまずもたらす可能性があるのは、“既存の暗号技術を無力化する”という根源的な変化かもしれない。金融庁は2025年に入り、地方銀行や新形態銀行との意見交換会(注1)で「量子脅威」を前提に耐量子計算機暗号(PQC)への移行について強いメッセージを発信している。データ保護・インフラ・システム開発、すべての前提が書き換わる時代が始まっている。量子時代の到来に向け、金融機関はどのような準備が必要なのだろうか。現状をまとめた。
執筆:創・佐藤法律事務所 弁護士 水嶋 優

創・佐藤法律事務所 弁護士 水嶋 優

司法試験合格後、2011年に日本銀行入行。システム部署での契約法務やリスク管理業務のほか、金融機関への考査・モニタリング業務などに従事。2023年より現職。 FinTech、Web3をはじめとする企業法務・スタートアップ法務を取り扱う。量子技術分野で文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」助成ビジネスコンテスト受賞、NEDO challenge(2025)スクリーニング審査通過。INSEAD MBA修了。

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金融業界を襲う「量子コンピューターによる暗号危機」とは?
(Photo/Shutterstock.com)

量子コンピューターと金融に迫る変化

 量子コンピューターは世界中で開発競争が進められており、国内でもさまざまなプレーヤーによる取り組みが行われている。たとえば、2025年6月、理化学研究所とIBMが156量子ビットの超電導方式量子コンピューター「IBM Quantum System Two」を神戸で稼働させ、スーパーコンピューター「富岳」との連携を開始した。

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【画像付き記事全文はこちら】
稼働開始した超電導方式量子コンピューター「IBM Quantum System Two」

 量子コンピューターは「重ね合わせ」「もつれ」といった量子力学特有の性質を利用する新しい計算機であり、従来の古典コンピューターでは指数的に膨れ上がる計算を高速に処理できる可能性がある。

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量子の「重ね合わせ」と「もつれ」のイメージ図
(出典:筆者作成)

 金融分野であれば、量子コンピューターによって超高速のポートフォリオ最適化やリスク評価モデルの高度化など、従来の限界を超える分析手法が実現する基盤となり得る。しかし、こうした大きなメリットが期待される一方で、量子コンピューターの技術進歩は同時にリスクも伴う。 【次ページ】なぜ今、量子コンピューターが金融業界の脅威となるのか
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