- 2026/01/24 掲載
金持ち優遇…消費税ゼロで得をするのは誰か? 年収別・世帯別「本当の損得表」(2/3)
消費税減税の議論は「3つの比較軸」をそろえるべき
消費税減税は「景気対策か、物価高対策か」という情緒的な議論に流れやすい。読者が判断しやすくするには、少なくとも3つの比較軸をそろえる必要がある。第1に、税率の“下げ幅×対象範囲×期間”だ。食品だけ、全品目、時限、恒久──同じ「減税」でも設計が違えば効果も副作用も変わる。今回の公約でも、食料品を時限でゼロとする案や、恒久ゼロを掲げる案、さらに一律5%への引き下げを訴える案まで幅がある。
第2に、減税と給付の比較だ。減税は購入時点で自動的に効く一方、給付は「対象設定」「申請」「支給時期」が焦点になる。たとえば、れいわ新選組は「消費税はさっさと廃止」「今すぐつなぎの現金10万円」をセットで訴える。現金給付は即効性があるが、設計次第で漏れや過不足も出る。
第3に、税と社会保険料の“取り分”の比較である。社会保険料は賃金明細で可視化されやすく、現役世代の負担感が強い。チームみらいは「消費税を下げるよりも社会保険料を下げる。消費税の税率は今のまま」と明記し、食品ゼロには慎重姿勢を示した。国民民主党も消費税の一律5%減税に加えて、社会保険料を軽くする還付制度を盛り込んだ。
「いつ・誰に・いくら」を決める政治コストがどこにあるか。税を下げても社保が上がれば可処分所得は増えない。減税のニュースを追うときほど、比較軸を固定して見比べたいし、価格転嫁の前提も明示する必要がある。税率が下がっても値札が即座に同率下がるとは限らず、流通段階の値付けや値下げ告知のコストがかかる。公約を評価する際は、制度設計と実務の距離も含めて読むべきだ。
世帯別に減税額を試算してみた
ここからは「自分はいくら得するか」を、再現可能な手順で可視化する。前提はシンプルで、食品(軽減税率8%)がゼロになり、価格が税率分だけ下がると仮定する。すると、税相当分=(あなたの食品支出)×{1-1/1.08}で求められる。たとえば食品を月5万円買うなら、税相当分は約3,704円、月10万円なら約7,407円だ。計算機がなくても、ざっくり「支出×0.074」で近似できる。
平均値の出発点として、家計調査の2024年平均では、単身世帯の食料支出が月4万8,204円、2人以上の世帯が月8万9,936円である。
これを当てはめると、単身は月約3,571円(年約4.3万円)、2人以上は月約6,662円(年約8.0万円)となる。
子育て世帯は食数が増える分、同じ2人以上平均より上振れしやすい一方、外食比率が高い世帯は“食品ゼロ”の対象範囲の定義に左右される。軽減税率では外食等が対象外とされるため、どこまでを「食品」とみなすかが、家計の実感を左右する。
もう1つは購入単価だ。物価水準が高い地域ほど同量でも支出額が増え、減税額(円)は伸びる。一方、地方は自家消費やまとめ買い、車移動前提の購買行動などで支出構造が変わる。
自分の家計簿(クレカ明細でもよい)から「食料」「外食」「酒」「日用品」を分け、どこまでが対象になるかを仮置きした上で、上の式に当てはめれば、政策論争を“自分ごと”に落とせる。
最後に感度分析として、価格転嫁が半分にとどまるケースも計算しておくのが無難だ。この場合、減税額は単純に半減することになる。選挙期間中の数字は派手になりがちだが、前提を置き換えても結論が揺れないかが、家計防衛の視点では重要になる。
PR
PR
PR