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コロナ禍で大きな打撃を受け続けている外食業界。度重なる緊急事態宣言による営業時間の短縮や、酒類提供の制限などが響き、店じまいを余儀なくされる店舗もある。飲食業界受難の時代、各店舗はどのようにして戦えばよいのだろうか。ITの力でこの難局を乗り越えるための「飲食店DX」について、レッティ代表取締役CEOの武田 和也氏が解説した。モデレータはNPO法人居酒屋甲子園 7代目理事長/Elevation 代表取締役の山崎 聡氏が務めた。
本記事は2021年7月28日開催「飲食店経営強化EXPO(主催:DMM.com)」の講演を基に再構成したものです。
首都圏も地方もコロナ禍に翻弄される飲食店
コロナ禍によって飲食業界が大きな打撃を受けていることはご存じの通りだ。首都圏では緊急事態宣言が4回も発動され、そのたびに客足が遠のいている。この状況については、場所や業態、店舗の規模などによる若干の違いはあっても、経営が厳しいという点ではどこも同様だ。
新潟駅前に店舗を構える山崎氏は「新潟では緊急事態宣言が出ていないため、時短要請もありません。しかし首都圏のニュースを見て、やはりお客さまも減っています。特に客単価が3,500円程度の30~40代の客層が一気に落ちている状況です。政府からの協力金もなく、売上が落ち込んでいるため、やはり首都圏と同様に経営が非常に厳しい状況です」と地方の苦境を訴える。
武田氏が代表取締役を務めるレッティは、口コミを通じて自分にとってベストの店を探せるグルメプラットフォーム「Retty」を運営している。同社は2010年に「食を通じて世界中の人々をHappyに」というミッションを掲げて設立されたベンチャーだ。Rettyは、口コミに点数評価を設けず、実名で口コミが書き込まれるため、内容の信頼性が担保され、月間利用者数(UU数)が4800万を超えるまでに成長したという。
武田氏は、Rettyに寄せられた多くのユーザーの意見やデータから、直近の飲食業界での環境変化について次のように分析した。
「居酒屋への来店行動が減少する一方で、焼き肉・ステーキ、麺類、丼ものなど、少人数で入れる業態や非予約業態への来店は増えている傾向にあります。いまはテイクアウトやカフェなどは徐々に客足も戻ってきました。最初の緊急事態宣言では、一定の飲食店が休業していましたが、最近では休業を選ばない店舗も多くなっています」(武田氏)
また、飲食店の販促意欲は、緊急事態宣言前後でも衰えておらず、宣言が明けてから取り組みを予定している店が大半を占めているそうだ。厳しい状況でも、経営者が何か手を打とうとしていることが伺える。
この点について、山崎氏は「昨年のGoToトラベルは、適用期間の途中で中止になり、肩透かしにあった飲食店が多かったと思います。政府にも何か施策を打ってもらいたいところですが、期待しながらも、同じ様なことが起きたら嫌だと、慎重になっている同業者も多いと思います」と本音を吐露する。
モバイルオーダーで非接触化、効率改善、顧客の常連化
とはいえ、飲食店も手をこまねいているわけにはいかない。レッティも業界全体を応援するために、さまざまな取り組みを実施してきたという。たとえば、GoToイートでの飲食店手数料の無料化や、飲食店応援プロジェクトのSNS展開による広報施策、テイクアウト商品のローンチなどを行っている。
店舗では感染対策を徹底する一方で、経営効率の改善も求められるようになり、経営の難易度はかなり上がっていると言ってよいだろう。常連客やリピーターが多い店舗なら、顧客が店を支えてくれることもあるだろうが、そうでない店舗は経営が持たない。改めてコアな客層の重要性も再認識されたかたちだ。
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