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- 2023/08/15 掲載
日本は和食文化すら失う? 外食産業の“ある大問題”で「ミシュラン評価」が下がる理由
なぜ「卸売業者」は必要?外食産業における役割とは
日本には約60万とも言われる飲食店が存在しており、その大半が小規模な飲食店、いわゆる個店と言われるものである。こうした個店の個性やこだわりが日本の食文化をつなぎ、進化させてきたと言っても過言ではない。しかしながら、こうした小さなお店は“調達面”で難しさを抱えることが多い。こだわりの料理を提供しようとすればするほどに、食材の種類は増えるが、個店ゆえに個々の所要量は少なくなる。さらに小さなお店ゆえに、大量に食材を仕入れるスペースは限られ、仮に保管できたとしても、使いきれなければ食材の鮮度低下につながってしまうため、必然的に多頻度な納入が求められることとなる。
こうした個店側の要望は、食材の生産者やメーカーからすると、望ましいものとは言えない。安定的な食品供給という観点で、食材は生産も配送も規模化による効率化を図りたいというのが本音であり、多品種・少量配送が求められる個店との取引(通称・ザラ場)は非効率となってしまうからだ。
こうしたサプライチェーンの川上(生産者・メーカー)と川下(飲食店)の相反する思いをつなぎとめるのが“卸売業者”だ。卸売業者はさまざまな機能を担っており、その1つに取引回数最小化やロットの細分化が挙げられている。まさに、個店は中間流通事業者である卸売業者に支えられて、日々の商売が成り立っているのだ。
物流費高騰に人手不足…卸売業界が抱える課題まとめ
こうして日本の食文化の裏側を支えてきた卸売業者だが、このビジネスは通過型ビジネスであり、ゆえに収益性は低く、薄利多売を余儀なくされるという特徴が挙げられる。これまでもさまざまな工夫で対処してきたものの、近年、逆風は厳しさを増している。物流の2024年問題に代表される「人手不足」により日々の業務が回らないという点、経営目線では「事業承継」など、各レイヤーで課題は散見されている。
そのため、経営効率化は卸売業者にとって急務と言えるが、ここに改革を阻む業界特有の構造的な難しさが存在している。 【次ページ】 卸売業界が「無駄な業務」を減らせない複雑な事情
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