- 会員限定
- 2024/05/09 掲載
ソニーやアマゾンと「超本気」提携のシーメンス、「産業メタバース」になぜ注力する?
英大学院修了後、RPA企業に勤務。大手通信社シンガポール支局で経済・テクノロジーの取材・執筆を担当。その後、Livit Singaporeでクライアント企業のメディア戦略とコンテンツ制作を支援(主にドローン/AI領域)。2026年2月、シンガポールで「SimplyPNG」を設立し、AI画像編集のモデル運用とGPUコスト最適化を手がける。主にEC向け画像処理ワークフローの設計・運用自動化に注力。
「産業メタバース」における2つのメリットとは
このところコンシューマー向けメタバースは鳴りを潜める状態となっているが、産業メタバース関連の投資や取り組みは拡大しつつある。特に注目されるのは、製造業における進展だ。産業メタバースとは、さまざまなテクノロジーの組み合わせによって構築される産業向けの仮想世界のことを指す。この仮想世界は社内・社外間で接続され、たとえば、プロダクトデザインにおけるコラボレーションなどを実現するものだ。
デロイトは2023年10月のレポートで、米製造企業の間では、産業メタバースを可能にするテクノロジーを導入する動きが活発化しており、産業メタバースが普及する技術的な素地が構築されつつあることを伝えている。
産業メタバース関連のテクノロジーであるデータアナリティクスやクラウドコンピューティング、IoTが広く普及しつつあり、実験段階を含めこれらのテクノロジーをすでに活用している割合は92%に上った。またプロダクション、カスタマーインタラクション、サプライチェーン、人材におけるユースケースが注目される分野であることも明らかになった。
たとえばプロダクション関連の取り組みとしては、プロセスシミュレーション、リアルタイムモニタリング、バーチャルプロトタイピング、工場シミュレーション、バーチャルメンテナンスなどが実施されている。
産業メタバースの取り組みで期待される主な恩恵は、コスト削減と売上増加だ。プロトタイピングなどの工程を仮想世界で実施することで、時間とコストの大幅な短縮につながることが期待される。また、仮想世界でのアフターサービスやカスタマーエクスペリエンスの提供が売上増に寄与する見込みもある。
シーメンスが今「産業メタバース」で注目されるワケ
この産業メタバース領域で特に注目されているのがドイツ・シーメンスの取り組みだ。シーメンスは他社に先駆け産業メタバースへのコミットメントを表明、NVIDIAなどとの提携のほか、自社でも多額の投資を行い産業メタバースの取り組みを進めている。今年開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES2024」では、シーメンスのローランド・ブッシュCEOが基調講演で産業メタバースにおけるデジタルツインと生成AIを活用した自社の取り組みを語っており、新しい領域でのリーダーシップを取る構えを見せている。
同社はCES2024で、ソニーと新たなパートナーシップを提携したことも明らかにして注目を集めた。同社はXceleratorのインタラクションツールとしてソニーのXRヘッドセットを採用、特に産業メタバース内でのデザインやエンジニアリングのコラボレーションを促進する計画という。
このソニーのヘッドセットは、4K OLEDの高画質ヘッドセットで、コントローラーを介して3次元モデルとのインタラクションを可能にする。シーメンスが開発する産業メタバースデザインツール「NX Immersive Designer」に統合され、2024年中にリリースされる見込みだ。 【次ページ】一般向けメタバースとの「違い」とは
メタバース・VR・AR・MR・SR・xRのおすすめコンテンツ
メタバース・VR・AR・MR・SR・xRの関連コンテンツ
PR
PR
PR