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  • 2026/04/27 掲載

500人の工場が5人に…?エヌビディアら牽引「フィジカルAI」の想像以上の実力を超解説

連載:デジタル産業構造論

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これまで多くの人手と専門知識が必要だったロボット制御の常識が、今大きく変わろうとしている。その鍵を握るのが、現実世界を学習・制御する「フィジカルAI」と、ロボットを柔軟に動かす「エンベデッドAI」だ。プログラミング不要で、人間の言葉で指示を出せるようになったことで、人間と同じ環境で働ける「ヒューマノイド(人型ロボット)」の導入機運がかつてないほど高まっている。 人型ロボットはどれほどのインパクトを持っているのか。今起きている変化の構造を分かりやすく解説する。
執筆:法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO

 日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所、産業革新投資機構 JIC-ベンチャーグロースインベストメンツを経て現職。2024年4月より東京国際大学データサイエンス研究所の特任准教授としてサプライチェーン×データサイエンスの教育・研究に従事。加えて、株式会社d-strategy,inc代表取締役CEOとして下記の企業支援を実施(https://dstrategyinc.com/)。

(1)企業のDX・ソリューション戦略・新規事業支援
(2)スタートアップの経営・事業戦略・事業開発支援
(3)大企業・CVCのオープンイノベーション・スタートアップ連携支援
(4)コンサルティングファーム・ソリューション会社向け後方支援

 専門は生成AIを用いた経営変革(Generative DX戦略)、デジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス・ロボットSIer、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。

 近著に『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、経済産業省『デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会/グローバルサプライチェーンデータ共有・連携WG』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)、日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。

【問い合わせ:masahito.komiya@dstrategyinc.com】

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フィジカルAIの構造(後ほど詳しく解説します)
(出典:筆者作成)

なぜ今、「フィジカルAI」に注目が集まっているのか?

 AI(人工知能)の進化は目まぐるしいスピードで進んでいる。画像認識などの「Perception AI(認識AI)」、文章や画像を生成する「Generative AI(生成AI)」、そして自律的なエージェント機能を持つ「Agentic AI(AIエージェント)」を経て、重要性が増しているのが「フィジカルAI(Physical AI)」だ。

 フィジカルAIとは、ロボットや自動運転車などが現実世界(物理世界)で活動するために必要な知見を学習し、物理法則を理解した上で複雑なシナリオを生成、シミュレーション・制御フィードバックや実行するAIを指す。

 たとえば、エヌビディアは、世界基盤モデルとして、自動車やロボットの学習・シミュレーション・フィードバックを行うフィジカルAI関連のソリューションを多数展開している。下図がアマゾンの倉庫に導入されているフィジカルAIの一例だ。

画像
【画像付き記事全文はこちら】
アマゾン倉庫におけるフィジカルAIの例
(出典:エヌビディア)


 このアマゾンの物流現場では、ピッキングロボットや自律搬送ロボット(AGV/AMR)の学習に合成データが活用されている。手法としては、メタバース環境で仮想的にロボットの動作環境を再現し、そこでインテグレーションやトレーニングを行う。そして生成AIにより、荷姿や周囲の状況、走行環境といったあらゆるシナリオを想定し、高速かつ安全に学習を行うことが可能となっている。

 こうした「フィジカルAI(現実世界で動くロボットや機械を制御するAI)」の進展と合わせて、最近では、ロボットや機器の内部に組み込まれる「エンベデッドAI」が大きく進化している。その変化についても見ていきたい。

ロボット内部にAI?「エンベデッドAI」が起こす仕事革命

 エンベデッドAIとは、機械の中で動き、その場の状況に応じて動作を柔軟に変えるAIのことだ。この技術の進化によって、従来の機器やロボットのあり方そのものが変わりつつあり、その流れがヒューマノイドロボット(人型ロボット)の発展にもつながっている。では、なぜこうした変化が起きているのか。

 ヒューマンロボット発展の背景には、生成AIの普及がある。ITの分野では、プログラミングコードを自動で作るAIの活用が急速に広がっているが、同じような仕組みがロボットや制御機器にも応用され始めている。つまり、ロボットの動きを制御するためのプログラムも、自動で生成できるようになってきているのだ。

 この結果、ロボットは周囲の環境に合わせて柔軟に動きを変えながら、従来のように多くの人手をかけずに(あるいは最小限の手間で)制御やシステム連携(インテグレーション)を行えるようになる。これまで必要だった細かな設定や調整の負担が、大きく軽減される点が重要なポイントである。

 さらに、この仕組みを発展させると、ロボットに生成AIを組み込み、あらかじめ基本的な動作だけを教えておき、後は人間が自然な言葉で指示したり、その場の状況に応じて判断させたりすることで、柔軟に動作を切り替えるといった運用も可能になってきている。

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生成AIとの融合によるロボットの動作の変化
(出典:筆者作成)

 このように事前のシステム構築(インテグレーション)の負担が最小限になることで、ロボットの専門知識を持たない企業でも、高度な作業をロボットに任せられるようになる。また、状況に応じた判断や動作の切り替えが求められる現場、つまりこれまでロボット導入が難しかった工程や作業にも、ロボットを活用できる可能性が広がっている。 【次ページ】なぜ今「人型ロボット」? あえて“人型”にする納得の理由
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