- 会員限定
- 2026/06/17 掲載
エヌビディア・アドバンテックら動向で大解剖「産業AIエージェント」最新図鑑
アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX: EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』、『製造業DX Next Stage: 各国/地域の動向やAIエージェントがもたらす新たな変革』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
NVIDIAも登壇? 台湾最大級イベントで見えた「AI覇権」
今回取材した「World Partner Conference」は、アドバンテックが世界各国の販売代理店やシステムインテグレーター、ソリューションパートナー、テクノロジーパートナーを集めて開催する年次イベントです。従来はパートナー向け会議として運営されてきましたが、2026年は初めて台湾最大級のICT展示会「COMPUTEX」と本格的に連動する形で開催されました。
アドバンテックは「Edge Computing & AI-Powered WISE Solutions」をテーマに、(1)国際カンファレンス「エッジAI カンファレンス」、(2)COMPUTEX展示、(3)World Partner Conferenceの3つを統合し、戦略・技術・ビジネスを横断するグローバルイベントとして開催しました。
背景にあるのは、AI市場において競争力の源泉が単体製品からエコシステムへ移行しているという認識です。アドバンテックは産業用コンピューターベンダーとしての立場から、エヌビディアやインテル、クアルコムなどの半導体企業、ソフトウェアベンダー、システムインテグレーターと連携しながら、エッジAIやフィジカルAIの産業実装を加速することを目指しています。
KC・リウ CEOは、今回の統合イベントを「グローバルエッジAIエコシステムの戦略対話と協業を促進するハブ」と位置付けているとしています。
【論点1】何億ドルまで成長? エッジAI市場の全貌
今回、筆者が取材したWorld Partner Conferenceの初日(6月1日)には、国際イベント「エッジAI カンファレンス」が開催されました。本カンファレンスでは、まず、アドバンテックのミラー・チャン(Miller Chang)氏(President of Embedded Sector)が「デジタルからフィジカルへ──エッジAIコンピューティングとWEDA(From Digital to Physical: Edge AI Computing & WEDA)」と題し、エッジAI市場の成長と産業応用戦略を示しました。
ミラー・チャン氏は、エッジAIが低遅延・データセキュリティ・リアルタイム応答を強みに、2034年に1,966億ドル規模へ拡大(年平均成長率(CAGR)23.8%)すると予測されていることを紹介。ハードウェアが市場を牽引する一方、ソフトウェアやサービスの統合が課題であると指摘しました。
その上で、クラウドAIから進化したエッジAIを産業現場に展開し、さらに「フィジカルAI」へと発展させる重要性を強調しつつ、ロボティクスやスマートファクトリー、医療機器、リテールなどの既存産業に加え、半導体装置やエネルギー、AMRなど新興分野での応用可能性を示しました。
具体的には、ロボット開発を支援するアドバンテックのフィジカルAI向けロボット開発ソリューション「Physical AI Robotics Solutions」や、モジュール・センサー統合、ロボット開発ソフトウェアスイート「Robotic-Suite」による開発環境を紹介し、すでに50以上のグローバルプロジェクトで活用されていると述べました。
さらに、3層構造のエッジAIプラットフォーム(組み込み、クライアント、サーバ)と、アドバンテックが開発者向けに提供するコンテナベースの開発環境「WEDA(WISE-Edge Developer Architecture)」を紹介し、これにより顧客はアプリケーション開発を加速できるとしました。
講演の最後には、半導体メーカーやソフトウェア開発者、産業団体などとの協業を含むエコシステム構築の重要性を強調し、産業界全体でフィジカルAIを実現していく姿勢を示しました。
アドバンテックは、このフィジカルAIの実現には自社だけでなく、半導体メーカーやソフトウェアベンダーを含むエコシステムが不可欠だと位置付けています。その考え方を象徴する形で、次に登壇したエヌビディアからはフィジカルAI実装に向けた技術的課題と解決策が示されました。 【次ページ】【論点2】エヌビディアが指摘…ロボット自律化「高すぎる壁」
半導体のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR