- 2026/11/07 06:50 掲載
【電子部品5社比較】村田・太陽誘電は“爆伸び”も…AI特需で明暗を分けた「3つの差」
DC向けが倍増、AIが変えた電子部品の「稼ぎ頭」
電子部品大手の2026年4~9月期(上期)決算が11月5日に出そろった。最後に発表した、太陽誘電は、上期の営業利益が181億円と前年同期の2倍(101.6%増)に膨らみ、通期の営業利益予想も450億円から540億円に引き上げた。修正の理由に挙げたのは、情報インフラ・産業機器向けなどの需要増加だ。追い風の正体は、AIデータセンターである。村田製作所では、データセンター関連の上期売上高が1,649億円と前年同期の約2倍(101.8%増)になり、全社売上高の15.1%を占めるまでになった。かつてスマートフォンが主役だった電子部品の稼ぎ頭は、AIサーバ向けに移りつつある。
ただ、AI特需の恩恵は一様ではない。今回比べる村田製作所、TDK、京セラ、日東電工、太陽誘電の5社は、そろって増収増益を確保した。それでも、TDKと村田製作所、太陽誘電が通期予想を大きく引き上げた一方、京セラは営業利益の予想を据え置き、日東電工も通期予想を変えなかった。
さらに、スマホやPCの市場では逆風が吹き始めている。メモリ半導体の価格高騰や供給制約が、スマホやパソコンの生産に影を落とし始めているのだ。同じAI特需のなかで、なぜ5社の対応は分かれたのか。その差は、データセンター向けの比率と、スマホ・PCへの依存度、そして一時的な損失の3つに表れている。8月に第1四半期の数字で比べた、前回の記事から、勢力図はどう変わったのか。各社の決算を詳しく見ていこう。
【5社決算比較】村田・TDK・京セラ・日東・太陽誘電
売上規模で最大となったのが、TDKだ。売上高が1兆5,606億円(前年同期比31.9%増)、営業利益が2,082億円(同41.0%増)となった。同社は「AIデータセンター関連の需要が堅調に推移し、全てのセグメントにおいて前年同期比で増収」と説明する。データセンター向けのニアライン用HDD関連の需要も、引き続き堅調だという。通期予想は売上高を2兆5,800億円から3兆500億円へ、営業利益を2,950億円から3,650億円へ、いずれも大幅に引き上げた。
村田製作所は、売上高が1兆908億円(同20.8%増)、営業利益が2,459億円(同48.9%増)だった。通期予想は売上高を2兆1,100億円から2兆2,600億円に、営業利益を4,300億円から5,200億円に上方修正している。
京セラは、売上高が1兆783億円(同8.8%増)、営業利益が656億円(同56.4%増)と、増益率では村田製作所やTDKを上回った。主にAIデータセンター向けに、高付加価値な半導体パッケージやコンデンサの旺盛な需要が続いたという。コアコンポーネントセグメントのうち、半導体関連部品の売上高は2,211億円と24.7%伸びている。ところが通期予想は、売上高こそ2兆800億円から2兆1,200億円に引き上げたものの、営業利益は1,600億円のまま据え置いた。
日東電工は、売上収益が5,584億円(同8.7%増)、営業利益が1,058億円(同12.0%増)だった。データセンター向けの高容量HDDの需要増で、回路材料の売上は約4割伸びた。ただし通期予想は売上収益1兆1,100億円のまま変えていない。
最後の太陽誘電は、売上高が2,060億円(同16.0%増)、営業利益が181億円(同101.6%増)だった。主力のコンデンサの売上が1,523億円と20.8%伸び、通期予想も売上高を4,240億円から4,360億円に引き上げている。用途別では、情報インフラ・産業機器向けが売上高の28%を占め、自動車向けと並ぶ柱に育った。
並べてみると、増収率はTDKの31.9%から日東電工と京セラの8%台まで大きく開いた。営業利益の伸びでは太陽誘電の2倍が際立つが、金額ではTDKと村田製作所が2,000億円台で頭ひとつ抜けている。そして、営業利益の予想を引き上げた3社と、据え置いた2社の差もはっきりした。
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