- 2026/02/04 掲載
「2026年、スマホはもっと高くなる」価格もスペックも上がる今、賢い買いどきはいつ?
AI特需が招く「玉突き事故」、PCからスマホへ
PCの値上げが先行して話題になったが、これはスマホにとっても対岸の火事ではない。根っこは同じ、世界的な「AI投資ブーム」による半導体の奪い合いだ。AIを動かすには、計算する「頭脳」にあたるCPU/GPUだけでなく、データを一時的に広げる「作業机(DRAM)」や、保存する「本棚(NAND)」といったメモリ部品が大量に必要になる。
特に現在、グーグルやマイクロソフトなどの巨大企業からの需要が集中しているのが、AIサーバ専用の「HBM(高帯域メモリ)」だ。これは一度に大量のデータを送れる“超高速な作業机”のようなもので、利益率が非常に高い。
部材メーカーがこぞってこのHBMの生産を優先した結果、PCやスマホ向けの一般的なメモリを作るラインが圧迫され、供給不足と価格高騰を招いている。工場を増やそうにも建設と稼働には時間がかかるため、この「時間差」が需給をさらに引き締めているのだ。
この構造は、まずPCで分かりやすく表面化した。国内BTO大手のマウスコンピューターは、受注急増やパーツ不足を理由に、2025年12月23日から2026年1月4日まで直販のPC受注を一時停止し、2026年1月以降の価格改定も予告した。部材高騰が完成品の供給と価格に影響する典型例だ。
同じことがスマートフォン市場でも起きようとしている。
ロンドン発のスタートアップ企業で、洗練されたデザインのスマホなどで若者からの人気がある、新興デジタル製品メーカーNothingの共同創業者、カール・ペイ氏は、AI需要でメモリコストが数倍に跳ね上がっている例もあるとし、メーカーは「端末の値上げ」や、価格を据え置く代わりに「性能を落とす(仕様の抑制)」などの選択を迫られている可能性があると指摘した。
また、市場調査会社のCounterpoint Researchも、AI需要を背景としたメモリチップ不足が部材コストを押し上げ、2026年のスマートフォン平均販売価格(ASP)を前年比6.9%押し上げると予測している。
原因はAI特需以外にも、見落としがちな「ステルス値上げ」
スマホ価格の高騰は、部材高だけでは説明しきれない。「値上げ=端末価格が上がる」だけではなく、値札の外側で起きる「隠れたコスト増」だ。この流れを決定づけたのが、iPhone 12以降のアップルの動きだ。環境負荷の低減を理由に、充電器やイヤホンの同梱を廃止した。サムスンも同様に、Galaxy S21で資源効率や廃棄物削減を理由に付属品を外している。
本体価格が据え置きでも、必要な付属品を別途購入する前提が増えれば、総支出は増えやすい。
さらに、容量の問題がある。近年は、端末内で処理する機能の高度化や写真・動画の高画質化で、メモリやストレージの消費が増える傾向にある。結果として、同じシリーズでも「実用に足りる容量」を選ぶために上位構成を選ばざるを得ず、これも実質的な負担増になる。
そして最近は、これまで「コスパが良い」とされてきたミドルレンジ帯のスマホでも、値上げが目立つようになった。特に低価格帯のモデルでは、急激な値上げは消費者に受け入れられにくい。
たとえば、グーグルの廉価版モデルであるPixel「aシリーズ」は、Pixel 7a(グーグルストア直販)が6万2,700円だったのに対し、後継のPixel 8aは7万2,600円と1万円高い価格設定となった。円安など個別要因はあるにせよ、ミドル帯でも価格が上がり得ることを示している。
ここまでが、避けようのない「値上げの構造」だ。では、私たちは結局いつ買い替えるのが正解なのか? 実は、この状況下でも「いまこそ買い時」なユーザーと、「待つのが合理的」なユーザーが明確に分かれる。決して安くない買い物で後悔しないための“分岐点”を、具体的に紐解いていこう。 【次ページ】【チェックリスト】「買うべき/待つべき」がわかる“3つの目安”
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