- 2026/11/05 06:50 掲載
なぜニトリの家電はあんなに安い?ドラム式も冷蔵庫も“10万円以下”…驚きのカラクリ
連載:家電で読むメーカー戦略図鑑
一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout 家電ガイド。日経BP社「日経ネットナビ」「日経ネットブレーン」「デジタルARENA」「日経トレンディネット」などを経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。著書に『家電ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)。
「1年で価格半減」家電業界の常識に感じた“違和感”
ニトリホールディングス 執行役員 家電商品部ゼネラルマネジャーの奥田哲也氏がまず語ったのは、日本の家電市場に対する強い問題意識だった。前職のメーカー時代は「年間計画を立てても伸び率は102~103%程度が限界で、市場全体が過当競争に陥っていると感じていました」と奥田氏は語る。日本の家電市場にはメーカーの数も家電量販店の数も多く、売り場には違いの見えにくい商品が並ぶ。結果として、販売現場では「何が違うのか」という説明に追われ、メーカー側は消費者よりも量販店のバイヤーを向いて商品を作ってしまう。さらに価格競争によって、1年で販売価格が半分近くになることも珍しくない。
「そうしたときに出合ったのがニトリの家電事業でした」。自分たちで作り、自分たちで売る。その仕組みに大きな可能性を感じたことが、転身の決め手になったという。では、家電メーカーが長年苦しんできた価格競争の構造を、ニトリはどう変えようとしているのか。
ニトリ家電の安さの秘密…他社と決定的に違う「最大の強み」
奥田氏がニトリの最大の強みとして挙げたのが、「製造物流IT小売業」という考え方だ。一般的なSPA(製造小売業)に近い概念だが、ニトリでは製造から物流、IT、販売までを一気通貫でつなぐ仕組みとして位置付けている。従来の家電量販店などが提供するプライベートブランド家電は、バイヤーがサプライヤーから商品を調達し、色や仕様を合わせて売る形が中心だった。しかし、それだけでは「あるものを持ってくる」域を出ない。そこで2022年以降、大阪に家電開発センターを立ち上げ、企画開発機能を本格的に強化。家電開発人材を集めやすい大阪に拠点を置き、現在は全体で約80人規模、そのうち50人弱が大阪に在籍している。
この開発体制によって、単なる仕入れ型ではなく、自社の意図を反映した共同開発へと踏み込めるようになったという。その転機になったのが、ドラム式洗濯乾燥機だ。奥田氏は「ドラム式洗濯乾燥機の成功が家電事業にとって最初の大きな山でした」と振り返る。
現在、ニトリが大型家電で特に力を入れているのは、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンの4カテゴリー。生活に近い小型家電やスマホ関連、AV機器も展開しているが、事業の柱として見据えているのはこの大型4分野だという。
なぜ家具メーカーが、家電に本気?裏にある「2つの狙い」
総合インテリア企業であるニトリが、なぜここまで家電を強化するのか。その狙いは2つあると奥田氏は語る。 【次ページ】家具メーカーが家電を本気で作る「2つの狙い」白物家電・調理・空調機器のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR