- 2026/02/12 掲載
3万台即完→大量出品…バイトダンスの約8万円「AIスマホ」が72時間で地に落ちたワケ
消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。
中国の最新技術とそれらが実現させる最新ビジネスをレポートする『中国イノベーション事情』を連載中。
3万台即完→転売地獄…AIスマホが示した“未来と現実”
スマホでのAI活用は当たり前になりつつある。しかし、それらは「自動化」にはほど遠く、写真レタッチや文書校正といった補助機能、対話による問い合わせにとどまっている。一方、米国では、PCの操作を代行してくれる自律型AIエージェント「OpenClaw」が登場し、大きな注目を浴びている。中国でも、AI対応スマホではなく、AIエージェントスマホへの挑戦が始まっている。これは、単なる“AIアプリ入りのスマホ”ではない。豆包は、スマホの中のアプリを自動で操作するAIだ。たとえば「ビッグマックセットを注文して」と言えば、自動でマクドナルドのアプリを起動する。注文直前に確認画面を出し、了承すれば実際に注文から決済までが行える。
テクノロジー好きの消費者たちは熱狂した。用意された3万台は数時間で売り切れ、SNSは豆包AIスマホの話題であふれた。しかし、わずか72時間後、この熱狂は落胆に変わった。今度はフリマサービスが豆包AIスマホの出品であふれることになった。
なぜ3万台即完したデバイスが、72時間で“大量出品”される事態になったのか。理由は大きく2つある。1つは、使って初めてわかった弱点。もう1つは、AIデバイスの普及を左右する、もっと根深い構造だった。
「もはやスマホ、要らなくない?」熱狂呼んだ“超自動化体験”
豆包AIスマホが発売された時、多くの消費者が熱狂したのは当然だ。スマホというデバイスが新しい時代に入り、未来が現実になったと感じたからだ。当初は、SNSには「こんなことにも使える」という実例を紹介した動画や投稿が相次いだ。たとえば、屋外広告などで見かけた商品を欲しくなったら──豆包AIスマホを起動し、カメラでその商品を写し、「この商品を最低価格で買いたい」と告げると、スマホに入っているECアプリが次々と起動し、その商品の価格を調べていく。そして、最低価格で販売しているECを見つけると、そのまま注文から決済までを行ってくれる。
ワイヤレスイヤホンと組み合わせると利便性はさらに高まる。中国のEVの多くはアプリが付属しており、アプリからさまざまな操作が可能だ。豆包はこのようなアプリも操作ができる。モールで買い物をした後、手が荷物でふさがっていても、イヤホンで「私の車はどこ?」と尋ねれば駐車位置を音声案内してくれる。自分の車が見えたら「車のトランクを開けて」と言えばトランクが開く。
多くの人が、もはやスマホの時代は終わったと感じた。スマホはカバンの中にしまっておき、行動中はすべてイヤホンで操作ができる。画面を見る必要がある時にだけスマホを取り出せばいい。
しかし、この熱狂はわずか72時間で落胆に変わった。その理由は大きく2つある。 【次ページ】【落胆の理由1】シンプルに「まだ早かった」
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