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- 2024/01/24 掲載
義務化が迫る「サイドローディング」とは?アップルとグーグルの寡占は解消されるか
連載:石野純也のモバイル最前線
なぜ? 世界が義務化に動く「サイドローディング」
iPhoneとAndroidのどちらにも、アプリを配信するためのストアが用意されている。iPhoneは「App Store」、Androidは「Google Playストア」がそれに当たる。前者はアップル、後者はグーグルが運営しており、サードパーティの開発者は、このストアを通じて全世界でアプリを販売することが可能だ。2008年にApp Storeが登場してから15年が過ぎ、今ではストアを通じて必要なアプリを入手するというスタイルが一般的になった。ストア側の審査があるためセキュリティを担保しやすく、iOSやAndroidといったプラットフォームとセットになっているため、全世界にアプリを流通させやすいといったメリットは共通している。
一方で、スマホ市場はiPhoneとAndroidの寡占状態であるため、普及率が高まるにつれ、弊害も認識されるようになってきた。ストア側が課す3割という手数料に対しても、一部開発者の不満がくすぶっている。
こうした中、世界各国でアプリストアの開放を義務づける動きが顕在化している。欧州は、デジタル市場法に基づき、アップルやグーグルの親会社であるアルファベットなどの6社を「ゲートキーパー」に指定している。
規制は多岐にわたるが、その中には、アプリストアの開放も含まれている。対応期限は2024年3月となっており、遵守しない場合、巨額な制裁金が科される恐れもあり、その動向が注目されている。
日本では、政府が設立したデジタル市場競争本部がアプリストアの開放を進める方針を打ち出しており、24年の通常国会で法案化を予定している。
2023年6月に出された報告書では、「アプリ代替流通経路の容認」を義務づける方向性が打ち出されており、法律が制定された後、アップルやグーグルに対し、アプリストアの開放を促していく可能性は高いといそうだ。こうしたストアを経由しないアプリのインストールは、「サイドローディング」と呼ばれる。
「App Store」を介さない例外的な存在とは
ひと口にサイドローディングといっても、iOSとAndroidでは、その対応が異なっている点も覚えておいたほうがいいだろう。まず、iOSは、原則としてアプリはApp Storeからのインストールに限定されており、それ以外のサイトなどでアプリを配信することはできない。ただし、例外もあり、MDM(Mobile Management Device)を通じて、社内用アプリなどをインストールすることは可能だ。
この場合、アプリの配布にApp Storeを経由させる必要はない。また、公開前のアプリを内部でテストするために「TestFlight」を通じて配信することは可能だ。とはいえ、いずれも例外的な対応で、一般のユーザー向けには基本的にApp Storeが主なアプリ配信の流通経路になる。アプリ内の課金も、App Storeを通じて行われる。
一方で、課金だけなら、ほかの方法を取ることも可能だ。たとえば、Netflixのような映像配信サービスやSpotifyのような音楽配信サービス、X(旧Twitter)のようなSNSアプリは、App Storeの決済に対応しているだけでなく、それぞれのサイトでクレジットカードなどを登録して支払うことも可能だ。
これは、いわゆる「リーダーアプリ」と呼ばれるもので、その中で再生するコンテンツに関しては、外部の決済方法を使うことが認められている。
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