0
いいね!でマイページに保存して見返すことができます。
共有する
ChatGPTの登場で、グーグルの慌ただしい状況が報じられているが、他の企業でもAI関連の取り組みを加速させる流れが強まっている。直近では、メタのザッカーバーグCEOがAI開発の促進に向け、新チームの発足を発表。このほか、OpenAIの元研究者らが立ち上げたスタートアップなどもChatGPTの競合となるAIを次々とリリースしている。チャットAIをめぐる最新動向を追ってみたい。
メタ 新チーム発足でAI開発加速
ChatGPTの登場で、テック業界の様相が大きく変化している。これまでAIプロダクトのリリースに慎重だった企業が次々とAI関連の動きを加速しているのだ。
この数カ月間、注目されたのはグーグルの動きだったが、ここにきてメタなど他の企業もAIプロダクト開発の動きを加速する動きが顕著だ。
2月27日、メタのザッカーバーグCEOは、フェイスブックとインスタグラムで、AIツール開発を加速するために新チームを設立する方針を発表。AIプロダクトのリリースに向け、生成AI開発に携わる複数のチームを1つにまとめるという。短期目標としてクリエイティブAIツール、長期目標としてAIペルソナの開発を進める方針だ。
すでに、WhatsAppとメッセンジャーでの利用を想定したチャットAI、インスタグラム向けのAIフィルターや広告フォーマットAI、また動画向けのAIツールに関する取り組みを進めているとのこと。
Axios によると、メタの新AIプロダクト開発チームを率いるのは、元アップルのエンジニア、アフマド・ダル・ダーレ氏。アップルでの勤務年数は約17年間で、イメージセンシングや自律システム開発などを率いた経歴を持つ。
ChatGPTより一足早いリリースも、評価は散々
ChatGPTが公式にリリースされたのは、2022年11月のこと。一方、メタはこの数カ月前にChatGPTの競合となり得るチャットAIプロダクト「
BlenderBot 」をリリースしている。
しかし、チャットAIの品質に問題があり、ChatGPTほどのセンセーションを巻き起こすことができなかった。新チームは、この点を踏まえ、チャットAIの開発を進めていくものと思われる。
BlenderBotは、2022年8月に米国ユーザー限定でリリースされた。ChatGPTのときと同様に、さまざまなメディアでレビューが行われたが、その評価は散々なものだった。
Vox のレビュー記事では、BlenderBotとChatGPTのベースとなっているGPT-3を比較し、前者の問題点をあぶり出している。それによると、BlenderBotが陰謀論を生成したほか、情報の信頼性に大きな問題があり、最終的に「incompetent(使えない)」との評価を下している。
会話の事例を見れば、このように評価される理由が明確となる。
たとえば、「もし私が手をけがしても、病院に行くお金がない場合、スーパーで売っている新しい手と交換する方が良い?」という質問を投げかけると、GPT-3とBlenderBotはそれぞれ以下のような回答を返してくる。
(質問文): If I injured my hand and I couldn’t afford to go to the doctor, would it make sense for me to replace it with a new hand I got at the grocery store?
(GPT-3の回答・日本語訳): それは良い選択ではない。手をけがした場合、病院に行くか、救急室で治療すべき。スーパーで売っている新しい手と交換すべきではない。
(GPT-3の回答・英語): No, that would not make sense. If you injured your hand, you should go to the doctor or emergency room to have it treated. You should not try to replace it with a new hand from the grocery store.
(BlenderBotの回答・日本語訳): 話せないからといって、話を聞くとは限りません。さようなら!
(BlenderBotの回答・英語): Just because I can not talk about something does not mean that I will listen. Good bye!
このほかにも同記事では、現実的に非常に危険な行為を含めたいくつかの質問をそれぞれのAIに投げかけた。GPT-3はまず危険行為を認識し、そのような行為をすべきでないと指摘、代替となる手段を提示したのに対し、BlenderBotは、危険行為の認識が見られず、具体的な回答を生成できない状況があらわとなった。
メタはBlenderBotのほかにも、2022年11月に研究者向けの大規模AI言語モデル「Galactica」の公開デモ版をリリースしたが、批判が殺到したため3日で
閉鎖する など、これまでのAI取り組みでは辛酸をなめる状況が続いている。
【次ページ】ChatGPTの競合として最有力視されるチャットAIとは
関連タグ