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- 2023/02/11 掲載
ChatGPTに対抗も誤り多数で大暴落、グーグルのチャットAI「Bard」は何が違うのか?
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
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風評被害を懸念していたグーグル経営陣
これまでAIプロダクトのリリースに慎重な姿勢を見せていたグーグルのサンダー・ピチャイCEOだが、ChatGPTの脅威が社内で指摘されるなどしたため、その姿勢を変えざる得ない状況となっている。CNBCが2022年12月13日に報じたところでは、同年11月にリリースされたChatGPTに関して、グーグル社内では社員から同社ビジネスの脅威になるのではとの懸念が噴出したが、ピチャイCEOを含めた経営陣からは、AIが示す情報の精度などを踏まえると、性急なアプローチは深刻な風評被害につながるリスクがあり、慎重にアプローチすべきとの発言があったという。
グーグルでも、ChatGPTと同等の能力を有する大規模言語AIモデルを開発しているが、ChatGPTに対抗して、それらのAIを性急にリリースすると、思わぬ風評被害を受けるという懸念が経営陣に共有されていた。
社内と投資家のプレッシャーの強まりと経営陣の姿勢変化
しかし、2023年に入り、グーグル経営陣の姿勢に大きな変化があり、立て続けにグーグルからAIプロダクトがリリースされる可能性があるとの情報が報じられている。2023年1月31日、CNBCは情報筋の話として、グーグルが社内でChatGPTの競合となるチャットAIプロダクト「Apprentice Bard(以下、Bard)」を試験しているほか、チャットAIを統合した検索エンジンの新デザインの準備をしていると報じた。
また翌月2月2日には、ピチャイCEOが投資家らに対し、大規模言語AIモデル「LaMDA(Language Model for Dialogue Applications:対話アプリケーション用言語モデル)」を搭載した検索エンジンを「近々(very soon)」リリースする計画であると発言、また激化するAI開発競争に備え、グーグル傘下のAI開発企業ディープマインドの組織改革を実行していると発言したことが報じられた。
直近2月6日には、グーグルが全社員に対し同社のチャットAI「Bard」をテストするよう要請したほか、LaMDA技術を利用できるAPIを用意し、一部のデベロッパーと企業を招待する計画であると報じられた。
昨年12月時点では、AIのリリースに関して慎重な姿勢を見せていたグーグル経営陣だが、社内だけでなく投資家らかもChatGPTへの対抗策を示すべきとのプレッシャーが高まり、矢継ぎ早にAIサービス/プロダクトのリリースを急いでいる状況だ。
【次ページ】ChatGPTに対抗するグーグルの秘策
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