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- 2023/03/28 掲載
「パート責任者」はおかしい? イオンリテール待遇差解消への「声」に見える誤解
イオンリテールがパートと正社員の待遇を同等に
3月中旬、流通大手イオンのグループ中核企業で、総合スーパーを運営するイオンリテールが、パートと正社員の待遇を同等にした報道があった。具体的には、1カ月に120時間以上働き、売り場の責任者を務めるパートが、昇格試験に合格すると、勤務が自宅から通勤できる店舗に限定される「地域限定社員」と待遇がまったく同じになるというもの。給料だけでなく、ボーナスや退職金なども同等になる。
パートの給与が増え、賃金格差がなくなる制度だが、肯定的な声だけでなく、否定的な声も多かった。 こうした制度こそ「同一労働同一賃金」が目指す未来だったのではないのか?
「なぜパートを正社員にしないのか?」否定的な声多数
前述の報道あった日は、一時、Twitterで「パートと正社員」のキーワードがトレンド入りした。まずは、肯定的な声から紹介する。
- パートと正社員が同じ仕事をしており、責任が付与されているなら、そうしないと(同一賃金にしないと)割に合わない
- 大事な取り組み。同一労働同一賃金とは本来こういうこと
- 労働時間や量が正社員と同じなら、平等にすべき
- 他の企業にも良い影響を与えてほしい
一方、否定的な声はいくつかのパターンに分かれた。多かったのは「責任者やリーダーをパートが務めていることがそもそもおかしい」といった、パートが「売り場の責任者」であることを疑問視するものだ。
パートに責任ある仕事を任せていた時点でそもそも「良くない」状況であり、さらにそれをパートの低い賃金で任せていたのはさらに良くない、といった論調だ。
また、「正社員のメリットがなくなる」「正社員の割が合わなくなる」という声も多かった。同じ待遇でより身軽ならばパートのほうが正社員よりむしろ好条件では? といった雰囲気だ。
さらに、今回の新制度を、正社員を増やさない、正社員に転換させないための悪制度だと断じる声もあった。
- 絶対に正社員にさせない意思を感じる
- 正社員に昇格させれば良いのでは
- パートと正社員の待遇を同じにするのではなく、短時間正社員を用意するべき
正社員に転換すれば良いのにそれをせず、パートのままで待遇差だけ縮めようとするのは悪だ、という。短時間で働きたいパートは本来短時間正社員(限定正社員)の身分が適正で、パートであるべきでないといする声もあった。 【次ページ】こうした声こそパートへの差別意識の表れ?
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