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  • 2023/05/26 掲載

「退職金大増税」時代の到来か、制度概要と待ち受ける過酷シナリオ

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政府は賃上げや成長分野への労働移動などを目指した労働市場改革を検討しているが、その中に、退職金の課税優遇見直しが含まれている。勤続21年以上の課税優遇にメスが入るのか、6月の指針発表に注目が集まる。退職後のシニアワーカーの実態に詳しい筆者が、制度概要や予測される影響について解説する。
執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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退職金の課税優遇見直しはどうなる?
(Photo/Shutterstock.com)

退職金課税優遇見直しで、退職金頼みの老後計画は危険に?

 2019年に話題となった「2,000万円問題」。現在は年金だけで足りないとされる額はもっと小さいといわれるが、それでも老後は安心という人は少ないだろう。

 ここ数年で60代後半でも働き続ける人が大幅に増え、70歳前後まで働くことに違和感も少なくなってきているが、どこかで年金生活へのシフトがやってくる。そのときに年金の不足分を補うのは、貯蓄だろう。その貯蓄を考える上で、やはり退職金の存在は大きい。

 しかし今後、退職金を受け取る際にかかる税金が上がるかもしれない。

 岸田首相が議長を務める新しい資本主義実現会議は、今年6月労働市場改革の指針を発表する予定。4月に示された原案の中に、現行の制度では優遇されている20年以上勤続した人の退職金課税の控除見直しが含まれている。まだ議論の段階だが、実際に制度改正があれば、勤続21年以上の長期勤続者が退職金をもらう際にかかる税金が、現在より増える。

 長年勤めて退職金を貯金して老後資金にしようと考えている人や、退職金を元手に投資など資金運用して老後資金をプラスしようと考えている人は、その計画の見直しが必要になるかもしれない。

 以降では、退職金をめぐる制度改正について状況を整理する。

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退職金は老後資金のあてにならないかもしれない…
(Photo/Shutterstock.com)

勤続21年以上の課税優遇にメスか

 まずは、現状の退職金の課税制度から説明する。

 現在の制度で所得税の計算式は、「(退職金-退職所得控除額)×1/2×所得税率」である。ちなみに退職金は「分離課税」として、他の所得とは合算されず退職金だけで税額が計算される。

 上記の中の「退職所得控除額」が今回の争点だ。現状はこれが「勤続20年以下」と「勤続21年以上」で計算が変わる。「勤続20年以下」の控除額は、「40万円×勤続年数」となる。勤続20年以下で80万円に満たない退職金なら税金はかからない。


 一方、「勤続21年以上」の場合、21年以上の年数分がさらに優遇される制度になっている。式にすると「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」となる。

 退職所得控除額が、勤続20年までは1年40万円分、勤続21年以降は1年70万円分だ。つまり、転職などで短い勤続年数の退職金を複数回もらうよりも、1カ所に長く務めて退職したほうが有利な課税制度となっていたが、これが見直しの議論の対象となっている。おそらくは控除額を一律「1年40万円」とするなど、勤続20年以下と21年以上の差を埋める方向を検討しているのだろう。

 政府は、1つの企業に長く務めるのではなく、成長分野などへの転職(労働移動)を促したい狙いからこうした検討をしているといわれている。また、企業が従業員に支払うコストを、退職金から通常の賃金にシフトすることで、賃上げを期待しているといった声もある。

 ここまでが現行の退職金の課税制度と、現在政府が検討している見直しの内容である。だが実は、退職金と関連する税金の控除は2022年にも変更となっている。 【次ページ】退職金だけじゃない…税金控除の見直し

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