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  • 2024/04/16 掲載

「Web3×メタバース× IOWN」で何が変わる? ドコモらが大胆予測

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Web3やメタバース、光電融合技術(IOWN)といった次世代テクノロジーを利用するための環境が徐々に整いつつある。これらのテクノロジーが実装されれば、「よりリアルで没入感のあるデジタル体験」が実現できるといわれている。では、2025~2030年にどのような産業やサービスが産まれるのか? 国際大学GLOCOM 客員研究員の林 雅之氏、NTTドコモ 新事業開発部 担当部長の小田倉 淳氏、FinTech Journal 編集部の山田竜司(モデレーター)が予測した。
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「Web3×メタバース× IOWN」で何が変わる?

Web3の取り組みは町おこしにも波及

 冒頭、モデレーターを務めた山田からWeb3・ブロックチェーン領域でのトレンドが紹介された。2023年は6月1日に改正資金決済法が施行され、法定通貨を裏付けとするステーブルコインが発行可能になった。10月には日本発デジタルアセットプラットフォームとして「Progmat」が設立され、同12月には、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)が、デジタル証券を扱う日本初のセキュリティトークン取引市場「START」を開設している。

 このように、リアルワールドでデジタルアセットが環境整備されるのと同時に、メタバースなどデジタル空間におけるWeb3についても総務省を中心に議論が推進されている状況だ。こうした状況を受け、Web3領域で環境の変化について問われた小田倉氏は、山形県西川町における取り組みを紹介した。

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NTTドコモ
新事業開発部 担当部長
小田倉 淳氏

 山形県西川町は、2023年、デジタル住民票をNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)によって発行した。NFTの保有者は、西川町のデジタル住民として「オンラインコミュニティー・メタバース空間での交流」などのさまざまなサービスを受けることが可能になるものだ。

 小田倉氏は「自治体がビジョンを示し、共感する人がそれを応援する仕組みの一例だ」とした上で、「アイドルやキャラクターにとどまらず、地域や地域ブランドまでが“推し”の対象となり、町づくりを推進していく点に大きな期待を持っている」と話した。

 小田倉氏が注目事例はもう1つある。それが北海道上川郡上川町だ。大雪山国立公園の北側に位置する上川町は層雲峡温泉を擁し、秋には「日本一早い紅葉」がみられる。小田倉氏は「人口3100人ほどの町に、地域課題の解決を目指した企業が続々とパートナーシップを結んでいる」と話した。

 これは、世界的なアウトドアブランドのコロンビアやスノーピーク、上川大雪酒造、経済メディアのNewsPicks、オルタナティブスクールのインフィニティ国際学院、デザインカンパニーのグッドパッチなど、道内・道外の企業が上川町と密接な関係を結んで活動をしているものだ。そして、自身も町が主催する共創プログラムに参加した経験から「町づくりにおける中心が、観光以上に人であり、熱い思いが人から人へと波及し、地域外の人も巻き込んで好循環を生んでいることを実感した」と小田倉氏は話す。

 このような町づくりの取り組みにメタバースが機能的に使われることにより、匿名性を生かしたコミュニケーションなどにより、町との接触頻度が増し、関係人口の拡大スピードは加速するということだ。

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国際大学GLOCOM 客員研究員
NTTコミュニケーションズ
イノベーションセンター IOWN推進室、技術戦略部門
林 雅之氏

 一方、林氏は、自治体におけるWeb3技術の活用事例として、岩手県紫波町における「ファン向けデジタル会員権」導入に向けた実証実験の事例を紹介した。

 これはWeb3技術を活用し、共創におけるファンの貢献度を可視化するトークン発行を検証する取り組みでである。林氏は「スポーツや、いわゆる推し活などマーケティングだけでなく街づくりのファンコミュニティーとしてのWeb3活用の可能性が地方を中心に広がってきていると感じる」と話した。

ドコモと「Web3×メタバース」、NTTグループとIOWN

 続いて、「Web3×メタバース関連で、注力している取り組み」について問われた小田倉氏は、ドコモのコミュニケーションサービス「MetaMe」を挙げた。

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ドコモのコミュニケーションサービス「MetaMe」
(出典:ドコモ MetaMe

 これは、新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」から生まれたコミュニケーション空間で、企業の事業検証の場として提供しているもの。「ゆるい感じ」の見た目で親しみやすい世界観を醸成している。

 自分の価値観を表現することで、価値観の近い人との接点を作ることができるのが特徴で「技術的には、メタバースとしては珍しい1万人規模の大規模空間で同時にやり取りが可能だ」と小田倉氏は話す。そして、「いくつかの自治体から、地域創生や、歴史文化の継承といった領域で共創の相談を受け、取り組みを進めているところだ」と話した。

 林氏は、NTTグループが推進する「IOWN構想」(Innovative Optical and Wireless Network)を紹介した。
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IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは
(出典:NTTコミュニケーションズ)

 IOWN構想は、通信ネットワークのすべての区間で光波長を占有することで「大容量」「低遅延」「低消費電力」を実現するAPN(オールフォトニクスネットワーク)や、光電技術などを活用した次世代情報通信基盤で、2023年3月からNTT東西で提供を開始している。

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オールフォトニクス・ネットワーク(APN)の特徴
(出典:NTTコミュニケーションズ)

 2030年には、低消費電力で電力効率100倍、大容量高品質125倍の実現を目標としており、林氏は、「現在、低遅延1/200をめざして取り組みを進めており、2025年大阪・関西万博では現行の進化版を提供予定だ」と説明した。

 IOWNが実現することにより、「たとえば、光電融合デバイスなどで電力効率が100倍となれば、ブロックチェーン運用で消費される電力を軽減することはもちろん、1年間充電しないスマホが実現するかもしれないし、メタバースもより高速で低遅延で利用できるようになることが考えられる」と林氏は話した。

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IOWN実現+技術革新 でこう変わる?
(出典:NTTコミュニケーションズ)
【次ページ】「次世代ライブ」「IOWNのロードマップ」「メタバース×Web3」

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