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  • 2025/11/05 掲載

DX認定事業者にまで…福島銀行の「AI活用を爆速化」させた“SBI提携”の驚きの効果

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SBIホールディングスと連携し、DXを加速させる福島銀行の核心となるのが、予測AIと生成AIの活用戦略だ。顧客ターゲティングの精度向上や、行員の事業者支援スキルを補うためのAIツール開発などの取り組みを推進している。また、SBIグループと連携したAI人材育成にも注力している。「デジタルとリアル」を両立させ、DX認定事業者にも選ばれた福島銀行の戦略と展望を、福島銀行DX市場営業部DX課の伊藤氏に聞いた。
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次世代バンキングシステムとスマホ戦略と生成AI・ビッグデータ
(後ほど詳しく解説します)

福島銀行が取り組みを進める「予測AI」と「生成AI」

 福島銀行は、SBIホールディングスと資本業務提携を結び、積極的にDXを活用している金融機関である。その大きな柱であるAIの導入状況について、福島銀行DX・市場営業部DX課の伊藤氏はこう語る。
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福島銀行
DX・市場営業部DX課 課長
伊藤 講平 氏

「金融機関で使われるAIには、大きく2種類があります。1つは『予測AI』と呼ばれており、お客さまのターゲティングや市場予測の分野で使われているもので、『予測型AI』や『AIエージェント』などもその1種です。もう1つは、バズワードとしても取り上げられている『生成AI』です。我々としては、SBIグループとの資本業務提携が始まって以降、予測AIの取り組みに着手しています」(伊藤氏)

 「予測AI」は金融機関において、市場予測、リスク予兆検知、顧客行動予測などで活用されている。当行が現在、注力しているのは、ターゲティングでの活用だ。

「お客さまへ架電し、銀行の商品やサービスを知っていただく業務では、これまでは年齢・性別など、銀行の持つ属性情報に基づいて順番にリストを作っていました。しかし、予測AIを活用することで、入出金の情報などのトランザクションデータを分析し、コールの確率を上げることが可能になりました。また、この予測AIは資産運用の分野でも活用を始めているところです」(伊藤氏)

 当行においては、SBIグループとの業務提携というメリットを生かした「生成AI」の取り組みも行っている。

「SBIグループの組織内に生成AI室ができたタイミングで、我々も実証実験的に生成AIへの取り組みを少しずつ始めました。AI技術に関しては、まだ本格的な実装には至っていません。しかしながら、業務を代替する手段として、一部の業務への実装を進めているところです」(伊藤氏)

 当行では、生成AIを活用することによって、顧客の商流を可視化するツールの作成に取り組んでいる。

「事業者支援の文脈と組み合わせて、実証実験を行っているところです。ベテラン行員は商流をすぐに把握できますが、若手行員は難しい。そこで、既存の銀行データとツールを連携させることで、商流を可視化し、若手行員の理解を助ける試みを行っています。経験値の少なさをデジタルの力によって補い、一定のラインまで引き上げる試みです」(伊藤氏)

福島銀行が行う生成AI活用人材を育成する試みとは?

 当行では生成AIに関する知識や活用する意識を行員に浸透させる試みも行っている。行員向け生成AI勉強会および銀行業務における生成AI活用に向けたテーマ創出ワークショップを開催したのだ。SBI生成AI室およびDataRobot社との連携によるもので、DataRobot社から講師を招いて実施された。なお、地域金融機関による生成AIワークショップの開催は、これが初めての事例となった。

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ワークショップの模様。右の写真はDataRobot社の講師
(出典:福島銀行)

「ワークショップを開催したのは2024年1月です。まず、DataRobot社の講師による基本的な知識の講義によって、AIの得意なこと、不得意なことを整理し、銀行業務のどこに使えるか、アイデア出しのワークショップを行いました。すぐに具体的なアイデアは出ませんでしたが、『自分の業務を見直すいい機会になった』との声が寄せられたのは収穫でした」(伊藤氏)

 なお、ワークショップ参加者からの感想として、以下のようなものがあった。

「『この部分を人間がやらずに済むならば、時間を削減できて、ほかのことに時間をまわせますね』という感想がある一方で、『もっと期待していたんですが、これはできないんですね』という感想もありました」(伊藤氏)

 結果的に、人の行う業務の重要性も浮き彫りになったのだ。当行は、デジタルの力を活用するとともに、対面営業の重要性を積極的に打ち出している。ワークショップは、その方向性の再確認の場にもなったようだ。

 なお、ワークショップで募ったアイデアで、現時点で実装化できる段階に至ったものはない。現在は、生成AIに触れられる環境を整備する段階だと伊藤氏は語る。

「今の時点で、具体的に発表できることはありませんが、行員全員がセキュアな環境で生成AIにさわれる環境を準備しているところです。AIネイティブとして業務を行うためには、まず行員が実際にAIにさわり、何ができて何ができないかを肌で理解するところから始める必要があると考えています。インフラ整備とルール整備は、ある程度道筋が見えてきたので、今後、AIに関する取り組みをリリースしていく予定です」(伊藤氏) 【次ページ】銀行で生成AIを“さらに活用”するために必要なことは?
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