- 2026/03/27 掲載
予想より「6年」早い、 量子コンピューター“実装前夜”「100兆円市場」の争いとは?
司法試験合格後、2011年に日本銀行入行。システム部署での契約法務やリスク管理業務のほか、金融機関への考査・モニタリング業務などに従事。2023年より現職。 FinTech、Web3をはじめとする企業法務・スタートアップ法務を取り扱う。量子技術分野で文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」助成ビジネスコンテスト受賞、NEDO challenge(2025)スクリーニング審査通過。INSEAD MBA修了。
「実装前夜」の量子コンピューター
「最大のブレークスルーは誤り訂正技術の大幅な進展ですね」(寺部氏)寺部氏は、ここ2~3年で量子コンピューターを取り巻く空気がガラリと変わった理由を、こう切り出す。
量子コンピューターは、量子力学に基づく「量子ビット(qubit)」を計算に使用する。この量子ビットは熱、振動、電磁波といった外部ノイズに弱く、計算の途中でエラーが頻発する。このため、「誤り訂正技術」を本格的に実装できなければ、どれだけ量子ビットを増やしても実用レベルの計算はできない。
「2030年ごろに実現し始めると言われていた誤り訂正技術が、2023~2024年にかけて次々と実機で実証されました。一気に6~7年分の時間が“巻いた”という感覚です」(寺部氏)
ここ1~2年ほどの間に、QuEra(キュエラ)、Google(グーグル)、Atom Computing(アトムコンピューティング)、Microsoft(マイクロソフト)などが、量子ビットの生成や誤り訂正の精度向上といった重要なマイルストーンの達成を、次々に報告している。
こうした誤り訂正技術の進展を背景として、各国政府、投資家、事業会社の間で、量子コンピューター実用化時期の前倒しへの期待が一気に高まっていると言えよう。
その結果、量子コンピューターの研究開発に世界の資本がなだれ込む状況になり、ユニコーン級スタートアップも既に複数存在する状況となっている。
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