- 2026/03/28 掲載
しずおかFGと名古屋銀が統合、総資産22兆円連合でも「ヤバすぎる」現実(2/2)
総資産22兆円 全国上位に躍り出る新連合の力
統合によって誕生する新グループの実力を総資産などのデータから読み解いてみよう。両行の2025年12月末時点の連結総資産を単純合算すると約22兆円に達する。これまで地方銀行のトップ集団はふくおかフィナンシャルグループや横浜銀行を中核とするコンコルディア・フィナンシャルグループなどが形成してきた。新たに誕生する東海連合はこうした巨大グループの牙城に割って入り全国上位の規模を確保する。
ただ規模だけで銀行の実力は測れない。巨大な資産をいかに効率よく利益に変えるかという収益性が問われる。本業の稼ぐ力を示す総資産利益率を見ると両行には違いがある。
静岡銀行は有価証券運用や法人向けサービスに強みを持ち、地銀の中でも高水準の利益率を維持してきた。対する名古屋銀行は愛知県内に製造業の強固な基盤を持つ反面、金利競争の影響で利ざやが薄く収益性の向上が課題となっていた。
今回の統合の狙いは、名古屋銀行の厚い顧客基盤に対し、しずおかFGが培ってきた運用商品や海外進出支援などの高収益なサービスを提供することにある。これによりグループ全体の利益率を先行する巨大地銀と同等以上の水準に引き上げるシナリオを描いている。
経費率の改善も重要な課題だ。両行の営業エリアは愛知県東部から静岡県西部にかけて店舗が重複している。従来の銀行再編では重複店舗を統廃合して人員削減を進めるのが定石だった。
しかし新連合は店舗の統廃合で生じた人員を削減せず、人材不足が深刻な企業買収の助言や事業承継、デジタル化支援などの部門へ配置転換する方針とみられる。規模の拡大でシステム投資の負担を抑えつつ人員を収益部門へ振り向けることができれば、全国有数の強力な金融グループへと進化する。
巨大連合誕生の裏で次に狙われる地銀の再編行方
この統合劇は東海エリアにおける再編の新たな始まりにすぎない。巨大連合の誕生によって市場のバランスが崩れ、周囲の金融機関を巻き込む再編の連鎖が起きる公算が大きい。国内の企業数が経営者の高齢化や人手不足で減少していく中、単独での生き残りが難しい中堅や中小の金融機関は厳しい選択を迫られることになる。今後の再編の引き金となる要素は主に2つある。1つは自己資本比率の低下だ。無利子無担保融資の返済が本格化し、物価や人件費の高騰で行き詰まる地元中小企業の倒産が増えている。
不良債権処理の費用が膨らめば、体力のない地銀や信金は自己資本を大きく減らす。自力での資本増強が難しくなった金融機関は、巨大連合の傘下に入るか外部に救済を求める展開が予想される。
もう1つは事業承継案件に対応する能力の限界だ。東海エリアには自動車産業を支える高い技術を持った町工場が多いが、後継者不在の問題を抱える企業も少なくない。企業の存続に関わる買収や複雑な事業承継の仕組みを構築するには専門知識を持つ人材が欠かせない。
小規模な地銀や信金が単独でこうした高度な要求に応えるだけの人材を確保するのは年々難しくなっている。
既存の取引銀行では課題を解決できないと判断した地元企業から順に、豊富な資源を持つしずおかFGや名古屋銀行の連合、あるいはあいち銀行へ取引を移す動きが広がる可能性がある。
優良な貸出先を失う事態を避けるため、岐阜や三重などの隣接県で独立を保つ有力地銀も合従連衡のテーブルにつかざるを得なくなる。東海市場は巨大地銀を中心とした新たな競争の段階に移行した。地銀再編の波は今後さらに広がりを見せるだろう。
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