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  • 2022/06/13 掲載

【波紋】なぜ黒田総裁は「値上げ許容度」発言をしたのか?景気調査とインフレのゆくえ

【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」

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黒田総裁は6月7日、6月6日の講演で「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことについて、修正・撤回した。「値上げ許容度」については、黒田総裁の発言に先立って安達誠司審議委員が「家計の値上げ許容度は底堅い」と言及していた。発言の背景となった経済活動の調査結果はどうだったのだろうか。また、こうした「値上げ許容度」以上に重要となる「受入れ許容度」(供給体制)の分析をふまえ、今後のシナリオを解説する。

執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一

執筆:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 藤代宏一

2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間「経済財政白書」の執筆、「月例経済報告」の作成を担当する。2012年に帰任し、その後第一生命保険より転籍。2015年4月より現職。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当領域は、金融市場全般。

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「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言
(出典:アフロ)

黒田総裁「家計の値上げ許容度が高まっている」発言

 黒田総裁は6月7日、6月6日の講演で「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことについて、修正・撤回した。

 これは渡辺努東大教授が4月に実施したサーベイで「なじみの店でなじみの商品の値段が10%上がった場合にどうするか」という質問項目に対して、「値上げを受け入れ、その店でそのまま買う」という回答が半数を超えたことを紹介した際の発言である。

 この発言がマスコミで報道されると、SNSを中心に黒田総裁の見解に対する不満が爆発。翌7日の参院財政金融委員会で黒田総裁は「必ずしも適切な言い方でなかった」と発言を修正し、さらに記者団に対しては「家計が自主的に値上げを受け入れているという趣旨ではない。誤解を招いた表現となり申し訳ない」と謝罪する事態に発展した。

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SNSを中心に黒田総裁の見解に対する不満が爆発
(出典:Getty Images)

日銀委員「家計の値上げ許容度は底堅い」発言も

 実のところ「値上げ許容度」については、黒田総裁の発言に先立って安達誠司審議委員が6月2日の講演で言及していた。

 同委員は4月時点からの国内経済見通しの変化についての質問に対して、以下のように回答。
「2月、3月辺りから懸念していたことは、各種値上げの動きが個人消費に大きな下押し圧力をかけるのではないかということでしたが、私がみる限り、いろいろなミクロデータを含めて意外と底堅い印象があります。また、景気ウォッチャー調査をみても、家計はやはり先行きに懸念を持っていますが、実際には、1~3月期のオミクロン株のまん延から底打ちして、比較的堅調というか、底堅いのかなと思っています。また、家計の値上げ許容度も比較的上昇しているというか許容しているので、そこは良い意味で期待を裏切っているところがあります」


 また、別の質問に対しては「値上げ許容度につきましては、生活必需品に近い食品などの価格が上がっている割には消費が大きく下がっていないという状況で、高まっているというより底堅いという感じだと思います」との見解を示していた。

【次ページ】経済活動は正常化に向かっているのか

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