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  • 2022/08/05

CBDCの最新動向を解説、コンテストからみる「特性と課題」とは?

FINOLABコラム

現在、世界の中央銀行の9割近くが何らかの形で発行に向けて検討を進めている中央銀行デジタル通貨(CBDC)。内外でのCBDC導入をめぐり関心が高まっているが、ユーザー側の議論が出遅れている感が強い。CBDCの日常的な利用イメージや新しい利用方法を議論するべく開催された「CBDCアイデアコンテスト」(主催:FINOLAB)からみえてきた、CBDCの特性と解くべき課題を世界の最新動向とともに解説する。

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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なぜ「CBDCコンテスト」は開催されたのか?コンテスト参加者・審査員・主催者
(撮影者:濱谷 幸江、筆者提供)

CBDCをめぐる海外の動向

 国際決済銀行(BIS)の調査では、世界の中央銀行の9割近くは何らかの形で発行に向けて検討を進めているとのことで、2020年以降、一気にCBDCが実現性の高いものとして検討されるようになっている。

<主なCBDC案件>
中央銀行 通過・プロジェクト名 発行事例・実証実験など
カンボジア 「バコン」 2019年7月からテスト、2020年10月運用開始
バハマ 「サンド・ダラー」 2019年12月からテスト、2020年10月運用開始。当初は国内限定
スウェーデン 「eクローナ」 2020年2月からパイロットテスト開始
中国人民銀行 「デジタル人民元」 2020年5月よりテスト、同年10月法制化案発表。2022年2月オリンピック(冬)で利用
欧州 「デジタル・ユーロ」 2018~2019年に実証実験実施、2020年10月“Report on a digital euro“発表。2021年より導入準備するも、発行は2026年以降の見通し
ナイジェリア 「eナイラ」 仮想通貨人気を背景に2021年に発行。利用者の口座保有状況などにより、使用条件を設定
日本銀行 「デジタル円」 2021年4月より実証実験開始。現段階で発行予定はないとされている
トルコ 「デジタル・リラ」 2020年に実証実験実施
インド 「デジタルルピー」 2022年2月に財務相が発行を表明
(出典:各行発表・報道をもとに筆者作成)

CBDCをめぐる国内の動向

 日本銀行は2021年からCBDCに関する実証実験を3段階に分けて実施している。2021年4月から22年3月までの第1段階においては、CBDCの発行・流通といった基本機能に大きな不具合が出ないかを検証、2022年4月からの第2段階では利便性向上やシステムの安定確保に必要な機能を検証している。さらに第3段階では民間事業者や消費者らが参加するパイロット実験の実施を視野に入れている。

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日本銀行の「CBDC実証実験」の第3段階では民間事業者や消費者らが参加するパイロット実験の実施を視野に入れる
(出典:日本銀行 中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する日本銀行の取り組み 2022.4.13)
 2022年5月には日銀が事務局を務める「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」による「中間整理」が発表されたが、ユーザーと日銀との間でCBDCをやりとりする仲介機関について、銀行が「有力な業態と考えられる」とされた。とはいえ、必ずしもユーザーが仲介機関となる銀行に預金口座を保有している必要はないとの考えも示している。

 また、資金移動業者など銀行以外の決済事業者を仲介機関とするかは「今後の議論の対象」とされた。さらに、CBDC導入について「現時点で発行する計画はないが、準備していくことが重要」との考えも示されており、「最終的には国民の判断による」とするも、「中間整理」を「幅広い関係者が議論していく際のたたき台」と位置づけている。

「CBDCコンテスト」が開催された理由

 内外におけるCBDCをめぐる検討が進んでいるのは前述の通りであるが、システム的な実現性の検証や制度的な対応に関する議論に比して、「日常生活におけるユースケースがみえてこない」「既にデジタル決済方法が濫立している日本でCBDCが必要なのか」「デジタル通貨は災害時に使えるのか」といった声が出るなど、ユーザー側の議論が出遅れている感が強い。

 そこで、CBDCの具体的な利用方法やそこで生まれるイノベーションに関する議論をどのように活性化すべきか考える中で、広くアイデアを募るコンテスト形式にすることによって、今後民間サイドで発想を拡げるきっかけにしようということになったものである。

 これまでにビッチコンテストの開催実績のあるFINOLABが主催者となり、フィンテック協会やブロックチェーン関連のコミュニティに告知の協力を仰ぎ、全国から20社近い応募が集まった。

 また、コロナ感染拡大もあってコンテストの一般参加はオンライン配信限定としたが、150名近い視聴をいただき、CBDCに対する関心の高さを感じることができた。さらに、コンテスト当日は、決済領域の専門家である小早川教授(明治大学)に最新動向を説明いただいたので、参加者のCBDCに対する理解も深まったものと考えられる。

【次ページ】コンテスト選考結果とCBDC利用の「論点」は?

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