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  • 2022/09/14 掲載

【単独】セブン銀行 松橋社長に聞く、開発者目線で見たコンビニATMがもたらした革新

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ATMの多機能化と利用領域の拡大、オープンイノベーションの取り組みなど、金融サービスのDXを牽引してきたセブン銀行。同行が全国に2万6000台以上設置するATMの担う役割も、「コンビニにある現金自動預け払い機」から「社会インフラ」へと大きく変化してきた。高専出身という異例のキャリアを持ち、「ATMのすべてを作ってきた」と言うセブン銀行代表取締役社長の松橋正明氏に、ATM開発のこれまでと今後の同社の事業戦略についてFinTech Journal編集部が単独インタビューを行った(本記事は前編)。

執筆:長谷川 誠

執筆:長谷川 誠

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セブン銀行
代表取締役社長
松橋 正明氏

「コンビニに最適なATMとは?」という問いからのスタート

 セブン銀行は、「セブン‐イレブンにATMがあったらいいな」というお客さまのニーズに応えてアイワイバンク銀行として誕生し、2001年にセブン‐イレブン店舗内に最初のセブン銀行ATM(第1世代ATM)を設置しました。

 セブン銀行のATMを作るにあたってまず考えたのは、「ATMをお客さま視点で作り変えたらどうなるだろうか?」という疑問です。ATMにはかなり長い歴史があります。ほとんどのATMは、銀行の支店に複数台設置することを前提として最適化されていました。銀行支店のATMとは違った「コンビニに最適化されたATM」を作るというチャレンジが、開発スタート時点での我々のスタンスでした。

 当時、一般的な銀行窓口の営業時間は平日15時までであったため、自身の都合に合わせて来店することが難しく、金融サービスに不便を感じるお客さまが増えていました。

「コンビニのATMとはどうあるべきか」という問いの答えは、24時間365日使えるということでした。この目的を達成するために、あらゆることを見直して開発を進めたのです。

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図表1:セブン銀行ATMの歴史
(出典:セブン銀行)

 第1世代ATMが2001年、第2世代ATMが2005年、第3世代ATMが2010年、第4世代ATMは2019年に導入され、現在に至っています。これまでの4世代にわたるATMは、実は毎回リセットして作り直しています。

 「前回を踏襲しない」「最新の技術で作り直す」というのが、我々のATM開発の基本方針で、6~7年後に標準になりそうな最新の技術を導入するように心がけています。一般的には最新技術は3年くらいかけて開発され、製品がリリースされてから2~3年で標準化されていきます。6~7年後の標準化を予測して作ることで、より幅広いニーズに対応できるATMを設置できると考えています。わかりやすい例がSSDです。HDDが主流の時代、SSDが出始めた直後に、さっそくSSDを採用しました。

フル・リモートオペレーション実現のために行った最適化

 開業当時に行ったことは、今の言葉でいうDXです。当時の銀行のATMは、本店にあるか、出張所にあるか、ショッピングセンターにあるかという3つのパターンがほとんどで、支店の運用担当者がケアするというのが一般的でした。

 しかし、我々の場合はコンビニに設置するATMということで、導入当初から全国各地、フルリモートで展開する必要がありました。そのため、すべての状態把握をデータで管理する仕組みを構築したのです。

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図表2:セブン銀行ATM事業のデジタル化
(出典:セブン銀行)

 セブン銀行ATMの開発においては、どこの機械で何が起きても、瞬時に画像で管理して、近くの保守員が駆け付けられるフル・リモートオペレーションの仕組みを作り上げたことが大きかったと考えています。

 もう1つ大きかったのは、現金精査を自動で行える電子突合の仕組みを作ったことです。今でも通常の銀行では1~2ヵ月に1回、すべてのATMの現金を数えています。しかし、セブン銀行ATMでは、電子突合の仕組みがあるため、定期的な現金精査を行っていません。

 会計監査の指導により、年に1回は手動の突合をしていますが、金額がずれることはありません。

 フル・リモートオペレーションを実現するうえでは、多くの課題がありました。さまざまな企業との連携によってシステムが成り立っているため、業務委託先にもITを実装してもらう必要があったのです。たとえば、委託先のATM警備の自社システム内に、我々のゲートウェイから色々なデータを流して、先方のシステムで把握できるように作り込んでもらう必要がありました。

 また、オペレーション開発や業務委託先との開発などのほかに、設置基準や安全基準の見直しを行う必要もありました。当時のATMの設置基準は、銀行の出張所用しか想定されていなかったからです。

 FISC(金融情報システムセンター)や警察の方々と協議して、新しいカテゴリーの基準を作ってオープンにしてもらい、その基準に沿って開発を進めました。

 このほかにも、ATM運営のプロセスをデジタル化して、ネットワークを使って全国レベルで把握できる仕組みを構築しました。このシステム作りが、当社のATM技術の根幹になります。当社の最大のリスクとはシステム・リスクであり、我々の事業はシステム産業そのものといってもいいと考えています。

【次ページ】新世代ATM導入時には多機能化とランニングコスト削減を実現

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