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- 2022/09/18 掲載
円安で申込数急増の「外貨預金サービス」、それでも銀行は喜んでいられない事情
加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『教養として身につけておきたい 戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。
申込が急増する「外貨預金サービス」
外貨預金はすでに多くの金融機関がサービスを提供しており、資産運用に積極的な顧客層を中心に、以前から一定のニーズが存在していた。だが、ここ半年で新規に申し込んだ顧客のほとんどは、急激に進む円安をきっかけに預金を決断した可能性が高い。特に利用が増えているのが、より高い金利を得られる外貨定期預金である。新生銀行やソニー銀行など、外貨定期預金を積極的に展開している金融機関の預け入れ額はここ半年で急増した。日米の金融政策の違いによって両国の金利には大きな差が付いており、ドルの定期預金にすれば2%以上の金利がもらえるケースも多い。
日本円では定期預金にしてもほとんど金利がつかないことから、ドル預金の魅力が増しているという図式だが、外貨預金には為替リスクがあるため、これまでは二の足を踏む人も多かった。だが、円安が本格化したことを受けて、今後も円安傾向が定着すると考える顧客が増えており、これが外貨シフトの背中を押していると考えられる。顧客のニーズが増えている以上、今後、各行が外貨預金サービスを拡充していくのはほぼ間違いないだろう。
【次ページ】国内だけでなく米国でのサービス展開も進める邦銀…その狙いとは?
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