• 会員限定
  • 2022/10/10 掲載

24年ぶり為替介入でどうなる? 利益を得るのは「日本人ではない」という残念な現実

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
政府は約24年ぶりとなるドル売り・円買いの為替介入を行った一方で、日本銀行は金融緩和政策の継続を決定した。これは相反する政策であり、為替介入の効果は金融緩和政策によって打ち消される。政府と日銀が逆方向を向いているので、経済は混乱する。そしてここで利益を得るのは、日本人ではない。政府と日銀の政策によって何がもたらされるのか、分かりやすく解説する。
執筆:野口 悠紀雄

執筆:野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Twitterアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

★本連載が書籍化されました★
『どうすれば日本経済は復活できるのか』 著者:野口悠紀雄
購入サイトはこちら:https://www.sbcr.jp/product/4815610104/

photo
9月22日に鈴木俊一財務大臣が発表した約24年ぶりとなるドル売り・円買いの為替介入で日本経済はどうなるのか
(写真:ロイター/アフロ)

「政府の為替介入」「日銀の金融緩和」が矛盾であるワケ

 日本政府は、9月22日にドル売り・円買いで為替市場に介入した。他方で日本銀行は同日、介入に先立つ政策決定会合で、金融緩和政策の継続を決定した。

 以下で詳しく説明するように、日銀が金融緩和政策を継続する以上、政府が為替介入を行っても、その効果は限定的なものにならざるを得ない。あるいは、効果がまったくなくなってしまう。

画像
日銀による金融緩和政策の継続で、なぜ政府による為替介入の効果が限定的なものになるのか
(Photo/Getty Images)

 政府と日銀の政策方向が矛盾しているのではないかとの批判があるが、まさにその通りなのである。こうした事態は、これまでなかったことだ。日本経済が大きな危機に直面する今、経済政策に関して前代未聞の混乱が生じている。


 円高にするのが本当に望ましいのであれば、政府は日銀に対して金融政策の変更を求めなければならない。そうしたことを行わず、いたずらに円高介入を繰り返しても、国民や企業を混乱させるだけだ。

 この問題はかなり専門的な内容を含んでいて、分かりにくいところが多い。しかし、日本にとって最も重要なことの1つなので、一部の専門家に任せるわけにはいかない。多くの国民が理解している必要がある問題だ。そこで以下では、介入の効果について、できるだけ分かりやすく説明することにしよう。

ドル売り・円買いの為替介入とは?

 日本政府は外貨準備として、ドルを保有している。ドル売り・円買いの為替介入とは、これを売却し、そして円に替える(なお、この操作は、財務大臣の決定と指示にしたがって、日本銀行が実行する)。

 この取引の決済は、政府と民間銀行が日銀に保有する当座預金を通じて行われる。すなわち、銀行の日銀当座預金の残高が減少し、政府預金の残高が増加する。

 銀行は日銀当座預金が減るので、その減少分を埋めるために、無担保コール市場などで資金調達を行う。それによって、短期金利に上昇圧力がかかる。つまり、日銀が金融緩和政策をやめて、引き締め政策に転じたのと同じ効果が発生する。

【次ページ】政府と日銀の矛盾した政策で“利益”を得るのは誰か?

関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます