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- 2024/11/08 掲載
フリーランス新法で「建設業者」は「何を」すべき?「義務付け7項目」など徹底解説
連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル
社会保険労務士・行政書士浜田佳孝事務所代表。Hamar合同会社代表社員。法学部出身でありながら、市役所の先輩や土木施工管理技士である父親の影響を受け、土木技術の凄さに興味を持ち、研鑽を積む。そして、市役所勤務時代には公共工事の監督員として、道路築造工事や造成工事などの設計・施工を担当した実績を持つ。
現在は、「建設業の現場を経験した」社会保険労務士・行政書士として、建設業の労務管理・建設業許可・入札関係業務を主軸に、建設業の働き方改革・安全衛生コンサルティングを始めとした「現場支援」業務を行ってる。また、商工会主催の「建設業の働き方改革セミナー」を開催し、働き方改革に関する多くの相談を建設業者などから受けている。
著書に 最新労働基準法対応版 建設業働き方改革即効対策マニュアルがある。そのほか、中小企業の建設業の経営者に向けた YouTubeチャンネルを開設し、建設業界に関係する最新の知識やお役立ち情報などを日々発信している。
そもそもフリーランス新法とは?
今回、登場するフリーランス新法、正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。この法律の目的は、「フリーランスと発注事業者との間の事業者間取引の適正化」と、「当該取引の下で業務を行うフリーランスの就業環境の整備」を図ることにあります。仕事を発注する際、発注者側の交渉力などがどうしても強くなってしまうことが多くあります。そのため、フリーランス側が受託した業務に安定的に従事できる環境を整備する必要があるのです。そして、建設業界に多い1人親方や1人社長が、フリーランスに該当するので、建設業界にとってもかなり関係のある法律になります(図1)。
さらにこの法律は、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が資本金1,000万円超の発注事業者が対象になるのとは異なり、資本金1,000万円以下の発注事業者も含まれます。そのことから、たとえば小規模事業者がフリーランスに依頼する業務委託といった取引も対象になります。ただし、「一般の消費者」からの業務委託は本法の対象にはならず、また「売買」も対象になりません。
建設業者が注意すべきは「偽装1人親方」
それは、建設業はそもそも仕事がコンスタントに入ってこないという特殊な事情があるからです。そのような状況の中で従業員を抱えていれば、毎月給与を支払わなければならず、固定費の支払いが大変になります。
外注にすることで、必要なときにだけ仕事をしてもらい、その分の報酬を支払えば良くなるので、固定費がかかることもありませんし、大幅な経費削減になります。また外注の場合、社会保険料等も1人親方自身が支払うため、発注者側からすれば一石二鳥というわけです。
ただ実態は多くの場合、雇用と同じように、指揮命令することを前提としています。そのため、労働者性を帯びる可能性が高くなることには注意です。たとえば労働基準監督署の監督などにより、労働者性が認められてしまえば、フリーランスではなく、従業員として考えなければなりません。
このような働き方を強いられている1人親方が一定数いらっしゃいます。そのため、建設業界としては、「フリーランス新法によってフリーランスが保護されるので現状のままで問題ない」と考えるのではなく、実態に即した適切な処遇を受けられるように考えるのが妥当ではないでしょうか。
では建設業者としてはどのようにして、フリーランス新法に対応すれば良いのでしょうか。

【次ページ】結局「何を」すれば良い? 3パターン・義務付け7項目を解説
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