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  • 2023/11/01 掲載

建設業「2024年問題」とは何かをわかりやすく解説、現場から「悲痛の声」が上がるワケ

連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル

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「建設業の2024年問題」というものをご存じでしょうか。これは、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」が、建設業界については5年間の猶予措置がとられていた結果、2024年3月末に期限を迎える問題のことです。その期限を過ぎると、時間外労働の上限を超え、違法な労働させている企業は、懲役刑や罰金刑が科せられます。しかし、他の業界よりも長く猶予があったにもかかわらず、実は施行まで半年を切ってもなお、ほとんどの企業で対応がなされていないのが現状です。似た構造で、最近取り上げられることも増えた「物流の2024年問題」以上に深刻な「建設業の2024年問題」について、現場の声とともに解説したいと思います。
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建設業界の働き方改革が進まない、業界特有の理由とは
(Photo/Shutterstock.com)

何が変わる?建設業の「働き方改革」

 まず初めに、建設業の働き方改革制度の概要について、説明をしていきます。

 2024年4月から施行される建設業の「働き方改革」というのは、「時間外労働の規制」をするというものです。

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2024年から建設業の働き方はどのように変わっていくのか
(出典:厚生労働省『建設業時間外労働の上限規制わかりやすい解説』をもとに編集部作成)

 上図のとおり、時間外労働については、原則「1カ月で45時間、1年で360時間以内」が限度となるわけです。

生成AIで1分にまとめた動画
  時間外労働というのは、いわゆる残業時間のような法定時間(1日=8時間、1週間=40時間)外で労働することを指します。

 時間外労働については、例外的に「臨時的な特別の事情がある場合」には、上記の原則以上に時間外労働をさせることができます。

 この場合、年間6カ月以内は、時間外労働を年720時間以下、直近2~6カ月平均では80時間以下(休日労働含む)、1カ月だと100時間未満(休日労働含む)にすることができますが、あくまで臨時的なものであるため、年間を通じて行えるわけではないことに注意が必要です。

 これまでは、建設業の時間外労働については、使用者と労働者の間での時間外労働や休日労働をすることについての協定(これを36(さぶろく)協定といいます)を結んでいれば、時間外労働などの上限自体はありませんでした。

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『最新労働基準法対応版 建設業働き方改革即効対策マニュアル』
画像をクリックすると購入ページに移動します
 しかし、2024年4月からは、上記で記載した時間を超えることができない仕組みになるというものです。

 これが「建設業の働き方改革」といわれているものの概要になります。

 そして、ここが労働基準法における大きな改正点になるのですが、この労働時間の上限規制を守らなければ、労働基準法第119条違反により「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に処せられます。

 また、労働基準法違反での事案については、インターネット上にて名指しで公表されますので、企業の社会的な信用度が暴落することにもなり、非常に大きなダメージを企業として受ける可能性があります。

「働き方改革」に対する“現場の声”

 この問題、実は「物流の2024年問題」とまったく同じで、建設業についても法律により時間外労働の上限規制の猶予期間が5年間設けられていました。

 しかしながら、現実的には、大手のゼネコンから地方の中小企業まで、ほとんどの企業において、この時間外労働の上限規制への対応ができていないのが現実です。

 もともと上限規制の時間内に収まっているような企業も存在するのですが、収まっていなかった企業のほとんどは、5年前と比べて、あまり改善されていません。

 私が建設業界の方々と接する中で、現場の声として特に多いと感じるのは、

「下請けだから、元請の都合にどうしても左右されるため、元請が長時間労働をしていれば、それに合わせるしかない」

「工期が決まっているので、間に合わせるために土曜日なども現場に出ざるを得ない」

「県や市といった発注者からの要望事項が多いため、休日も含めて、書類づくりをせざるを得ない」

「日給制だから、土曜日や日曜日も関係なく、現場に出た方が得」

「働き方改革をしなければならないというのはわかっているが、さまざまな事情があり、すぐに対応することが難しい」

「建設業界全体が、労働時間を抑えても問題がないような構造に変わるしかない」

といったところです。

 この声を基に、「働き方改革」が進まない理由について、さらに詳しく見ていきましょう。 【次ページ】「働き方改革」が進まない“4つ”の理由
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