- 2026/04/23 掲載
ライザップが狙う建設業の空白地帯、日本で「ブルーカラービリオネア」は生まれるか?
なぜ、ライザップは「建設業」に目をつけたのか?
RIZAP(ライザップ)グループは2026年4月14日、建設事業への本格参入を発表した。フィットネスで知られる同社が選んだのは、内装施工を軸とする現場領域である。同社は低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」を短期間で全国に展開し、1年で1000店舗規模に到達した。この出店スピードは、従来の建設・内装業界の常識を大きく上回る。通常、店舗内装は設計から施工まで外部業者に依存するため、調整や人手確保に時間を要するが、ライザップはこのボトルネックを自ら解消するため、施工体制の内製化に踏み込んだとみられる。いまや出店競争において、施工は単なるコストではなく競争優位の源泉へと変わっているのだ。
建設業は国内で約477万人規模の雇用を抱える巨大産業である一方、デジタル化や効率化が遅れている分野でもある。人手不足は深刻で、国土交通省の推計では就業者の約3分の1が55歳以上を占める。高齢化と技能継承の問題が同時に進行するなかで、非効率な慣行が残存している。こうした構造は、外部企業にとって参入余地が大きい領域ともいえる。
ライザップは自社ブランドの店舗拡大を通じて“スピード出店”のノウハウを蓄積してきた。これを外部向けにも展開する構想だ。
施工を「再現可能なビジネス」に変換できれば、従来の職人依存型モデルからの脱却につながる。ライザップの参入は、建設業の役割を「個別作業」から「産業化されたサービス」へと転換する試みともいえる。
「職人」が稼ぎまくっている米国の現状
ライザップは今回の新規参入に伴い、グループ内の人材500人を「ブルーカラー」に転換することを発表している。ここで注目したいのが、労働市場におけるブルーカラー職の再評価の潮流だ。米国では「ブルーカラービリオネア」と呼ばれる、AIに代替されにくい建設・設備関連の技能職が高収入となる現象が注目を集めている。米労働統計局によれば、配管工や電気工の平均年収は約6万ドル台に達し、熟練者や独立事業者では10万ドル(約1,500万円)に達する例もある。住宅需要の増加と職人不足が重なり、技能の市場価値が高まっているためだ。こうした環境では、技能を持つ個人が事業者として独立し、高収益を挙げるケースも珍しくない。
生成AIの普及により、事務や分析といったホワイトカラー業務の一部の自動化が進む一方で、建設現場の作業は現場ごとに条件が異なり、完全な自動化が難しい。設備の取り付けや補修といった作業は、人の判断と経験に依存する部分が大きいため、技能職は「代替されにくい仕事」として再評価されているのだ。 【次ページ】それでも日本で「ブルーカラービリオネア」が生まれない理由
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