- 会員限定
- 2025/06/13 掲載
愛知の運送会社「29歳社長のDX」は失敗組とここが違う、これがデジタルネイティブか…
連載:「日本の物流現場から」
Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。
芳誠流通:数千万円を投じて「配車システム開発」
芳誠流通は、東京都大田区にある本社を含め、都内に4拠点、埼玉県内に2拠点を構え、主として青果輸送を行っている。年商約30億円、従業員数約270人、保有トラック数200台弱の運送会社である。従業員が30人以下の運送会社が約80%を占め、逆に従業員1000人以上の大企業が77社(2023年3月実績)、割合にして0.1%しかいない運送業界において、芳誠流通は準大手と言って良いだろう。
芳誠流通が本格的なシステム導入を最初に行ったのは2016年のこと。システム化の目的は以下の通りだ。
- 配車表を書くホワイトボードを廃止する
- ドライバーから事務所に対して行っていた業務連絡を廃止する
- デジタルタコグラフ(デジタコ)を導入し、手書きであった運転日報をデジタル化する
配車とは、その日のトラック運行スケジュールを記した時間割りのようなもの。当時の芳誠流通 大田営業所では、壁一面にホワイトボードを8枚設置して配車表としていた。
配車表の内容は配送状況に合わせて刻一刻と変化していくのだが、事務員は間違い探しのように配車表とにらめっこを行い、イライラしながら最新の配車内容をExcelで作成した売上票に転記していたという。

芳誠流通では先の目的を達成するべく、以下のシステムを導入した。
- デジタコと、その管理システムである「ITP-WebService V2」(ともに富士通)
- 勤怠管理システム
- PC版アルコール検知器
- 配車システム
後々問題となったのが、配車システムである。芳誠流通では、パッケージソリューションの配車システムも検討したのだが、お眼鏡にかなうものが見つからなかった。そこで、数千万円を投じてフルスクラッチで配車システムを開発したのだ。
芳誠流通 常務取締役 冨田 剛氏は、「一定の効果はあったものの、数年経過すると現場ではあまり使われなくなってしまいました」と当時を振り返る。 【次ページ】芳誠流通:なぜ「数千万円のシステム」は使われなくなったのか?
物流管理・在庫管理・SCMのおすすめコンテンツ
物流管理・在庫管理・SCMの関連コンテンツ
PR
PR
PR