- 会員限定
- 2026/06/25 掲載
【崩壊寸前】KADOKAWAよりヤバい?出版業界2社が大赤字に追い込まれたワケ
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
本を運ぶだけで大赤字?流通の8割を占める「2大取次」の苦境
取次最大手だった日販グループホールディングス(以下日販)は近年、減収が続いている。出版市場の縮小と物流コストの増加が直撃した形だ。出版物の市場は1996年の2兆6,564億円をピークとして減少が続いてきた。「活字離れ」が深刻と言われるが、書籍よりも雑誌販売の減少による影響が大きい。
この間にパソコン、ガラケー、スマホが台頭し、暇な時間に雑誌を読むという習慣が減っていった。近年では電子書籍市場も拡大しており、2025年度における紙の出版物市場は1兆円を下回った。
2024年3月期までの間は減収がそのまま減益につながった。2025年3月期は「構造改革によるコスト削減」と「物量減に伴う荷造費減少」により、収益が改善したと日販は公表している。近年は物流施設の統合と自動倉庫システムを導入した物流施設の開設、人員整理などを進めており、こうした施策が功を奏したと考えられる。
だが2026年3月期は物流コストの高騰が影響し、大幅な赤字を計上した。書店の運営やTSUTAYAのFC展開など、グループではさまざまな事業を展開しているが、取次事業単独では40億円の赤字となった。
トーハンも同様に出版市場の縮小に伴い、減収が続いた。
かつて営業利益は年間数十億円規模を計上していたが、近年では10億円を下回っている。トーハン単体では、取次事業で毎年10億円超の経常赤字を計上し、2026年3月期の赤字は40億円超に膨らみ、不動産事業などが赤字を補填している状況だ。
同社の資料によると、2014年における「Kg当り運賃単価」は24.36円だ。2022年には40円を超え、2024年は46.57円となった2025年は64.35円と物流コストが急騰した。
両社とも2025年度の大幅な赤字は物流コストの高騰が主要因だが、それだけでは書籍流通業界が抱える問題を説明できない。 【次ページ】赤字スパイラルの原因は業界特有の「2つの商習慣」
物流管理・在庫管理・SCMのおすすめコンテンツ
物流管理・在庫管理・SCMの関連コンテンツ
PR
PR
PR