• 2026/04/06 掲載

なぜソニー×ホンダ「夢のEV」は頓挫した?AFEELA開発中止から見えた“致命的な誤算”(3/4)

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AFEELAは「遅すぎて高すぎた」?

 AFEELA 1の商品性を見れば、難しさはさらによく分かる。2025年1月に公表された量産仕様は2グレード構成で、下位のOriginが8万9,900ドルから、上位のSignatureが10万2,900ドルからだった。

 納車時期はOriginが2027年、Signatureが2026年後半を想定していた。日本円に直せば軽く1,000万円を超える価格帯で、対象となる顧客はおのずと絞られる。しかも北米仕様のOriginで、EPA推定航続距離は約300マイル。40個のセンサーを搭載し、AIエージェントや後席エンタメ、OTA更新などを訴求したが、消費者がまず比べるのは豪華な機能より、その価格でどれだけ走り、どれだけ使いやすいかである。高額EVとしては、価格に見合うと納得させるのが簡単ではなかった。

 車型の選択も厳しかった。AFEELAが最初に投入しようとしたのはセダンである。米国市場ではSUVの存在感が強く、Cox Automotiveも2025年の販売動向として、今後の成長ドライバーに新型ボルトやRivian R2、BMWの新世代EVなどを挙げている。

 値ごろ感のある量販EVやSUV系モデルが次の需要を担うという見方が強い中で、高価格の新興ブランド製セダンは、最初から間口が狭かった。カリフォルニアでの先行販売という戦略も、ブランドを立ち上げる上では理にかなっていたが、規模を急ぐには不利だった。

 販路が限られ、納車まで時間がかかれば、話題になっても受注の勢いは続きにくい。遅すぎたのか、高すぎたのかという問いへの答えは、結局どちらも当てはまる。

ターゲットが微妙に「ズレてる」と言えるワケ

 もう1つ見落とせないのは、AFEELAが誰のための車なのかを最後まで鋭く打ち出せなかった点だ。最先端のHMI(Human Machine Interface)や映像体験に価値を感じる層はたしかにいる。だが、その層がそのまま高級車の主要な購買層とは限らない。高級EVの顧客は、日常の使い勝手、信頼性、充電の安心感、ブランドの実績、将来の下取り価格まで見て判断する。

 AFEELAは新しさでは勝負できても、実績では不利だった。ソニーの世界観とホンダの製造力を掛け合わせれば勝てるという発想には魅力があったが、市場は企業の組み合わせだけで評価しない。最後に問われたのは、完成度の高いコンセプトかどうかではなく、買う理由がひと目で伝わる商品かどうかだった。そこに届かなかったことが、中止の核心である。 【次ページ】ホンダが取るべき「姿勢」とは
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